ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ

サーブが走り、ブラトエフ、西田が高い決定力を発揮。セッター久保山のトスワークも機能し、相手のブロックを翻弄した

「絶好調でした。昨日とはまったく別のチームになっていた。ミスも少なく、いつも通り粘り強いバレーができました」
 試合後の記者会見で、キャプテンの浅野は開口一番こう語った。絶対に負けられない一戦だった。ファイナル6の進出を争う東レアローズとの直接対決。自然と緊張感は高まっていた。
 果たして、ジェイテクトSTINGSは前日の敗戦を払拭するかのように躍動した。浅野の言葉通り、会心のバレーを展開したのだ。

 立ち上がりは東レに先行を許した。西田のスパイクが止められるなど1−4。ブラトエフのブロックで1点差まで詰め寄ったが、3点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 しかし、ジェイテクトSTINGSに前日の敗戦のショックはなかった。見違えるようなバレーで反撃に出る。躍動したのが浅野だ。バックアタックでサイドアウトを切ると、ブラトエフがサービスエースを決めた。相手のスパイクミスもあって9−9の同点に追いついた。
 この日はブロックも機能。浅野、西田のブロックポイントなどで4連続得点を奪った。セッター久保山のトスワークも冴えていた。勝負どころで西田にトスを集めて加点。ブラトエフもブロックを決めて、16−13とリードを広げた。
 18−14の場面でベンチも動く。リリーフサーバーに中根を投入。初めて使うパターンで、相手にプレッシャーをかけた。「中根選手は練習中からいいサーブを打っていました。今日の相手である東レさんには中根選手のサーブが有効と判断し、リリーフサーバーとして起用しました」。そう振り返った高橋監督。中根はディグでも好プレーを見せ、ブラトエフの得点をお膳立て。20−14と引き離しにかかった。
 3点を連続で奪われたが、西田のブロックなどですぐに2点を取り戻した。ブラトエフが鮮やかにサービスエースを決めてセットポイント。最後は相手のサーブがミスになり、25−19でジェイテクトSTINGSが第1セットを先取した。

 第2セットも同じ布陣でスタート。浅野のスパイクで先制し、秦の速攻でサイドアウトを切る。互いに1点ずつ取り合う展開。ジェイテクトSTINGSは浅野、西田のバックアタックで得点を重ねた。金丸のスパイクは相手のブロックに弾かれるが、高く浮いたボールを西田がダイレクトでたたき込む。金丸もブロックを決めて、8−7で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 気の抜けない時間が続く。ジェイテクトSTINGSは浅野、秦のスパイクで確実に得点を重ねていった。しかし、11−9から3連続失点。相手のサーブはアウトになったかに思われたが、チャレンジによってスコアが覆った。
 ここで高橋監督はタイムアウトをコール。嫌な流れを断ち切ると、秦、ブラトエフが続けて決めて逆転に成功する。さらに13−13から久保山の2本のサービスエースを含む4連続得点。西田が高い決定率を維持した。
 ここからは一進一退。久保山のトスワークも光った。金丸、秦の速攻を要所で使いながら攻撃を組み立てていく。中根と辰巳の二枚替えで勝負を仕掛けた。ここは1本で切られたが、ジェイテクトSTINGSの集中力は途切れない。最後はブラトエフのスパイクでフィニッシュ。25−21でセットを連取した。

 完全に流れを掌握した。ブラトエフがサーブで攻め、ネット際に上がったボールを西田が打ち込んだ。第3セットもジェイテクトSTINGSが先制。西田もサーブで攻めて相手からレセプションの失敗を誘い、浅野がブレイクポイントを奪う。サーブが機能すれば、ジェイテクトSTINGSは強い。秦もサービスエースを決めて7−5。2点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 ジェイテクトSTINGSの勢いが止まらない。ブラトエフがブロックを決めて、東レはタイムアウトを要求。さらに10−8から4連続得点。金丸の速攻で口火を切ると、西田がスパイク、ブロックで活躍。14−8となったところで東レは早くも2度のタイムアウトを消化した。
 多くの声援を背に受けて、ジェイテクトSTINGSが一気に攻める。浅野、西田が続けて決めて、16−11と点差を広げた。さらに西田がサービスエース。スタンドのボルテージは最高潮に達した。
 まさにジェイテクトSTINGSらしいバレーだった。サーブが走った。リベロの興梠を軸に、ブロックとディグの連携も機能した。浅野のサービスエースで19−14。二枚替えで入った中根のサーブはアウトになったが、チャレンジで間を取ったことで悪い流れを引きずることはなかった。相手にサーブミスが続いてマッチポイント。最後は秦のスパイクで25−21、ジェイテクトSTINGSがストレート勝ちを決めた。

 プレッシャーがかかる試合で、完璧な試合運びを見せた。前夜、堺に負けて選手だけでミーティングを開いたという。
「一人ひとりが何をしたいかを言ってもらったことで、やるべきことが明確になりました。前日の堺戦は緊張もあったと思います。だけど、選手同士が目を見て話し合えば、いい試合の入り方がイメージできる。しゃべっていると楽になるんです。来週のホームゲームも、いい流れで迎えたいと思います」
 こう話した浅野。ようやく壁を乗り越えた。あとは前を見て進むだけだ。来週のホームゲームに向けて、ここから一気に加速していきたい。

高橋慎治監督

今日は選手たちが最初から最後まで集中力を保ち、精度の高いバレーを展開してくれました。その結果、勝利につながったと思います。また、昨日の試合が終わって、選手たちだけでミーティングをしてもらいました。勝ちたい気持ちはあるが、試合の持っていき方がよくなかった。今日は自分たちのやるべきことを整理したことで、いい内容の試合ができたと思います。ブラトエフ選手はいつも闘争心をむき出しにしてプレーしてくれています。時に集中し過ぎることはありますが、今日は落ち着いてプレーしていた。今日のようないい試合を続けられるように、来週のホームゲームに向けて準備していきます。

興梠亮

何としてでも勝ちにいくんだという姿勢を全員が出すことができ、勝ちにつなげることができました。リベロとしては、コートの中の雰囲気づくりも心がけながらプレーしています。ブラトエフがサービスエースを決めた時も、少しでも気楽にプレーしてもらおうと思い、声をかけに行きました。昨日のミーティングで、相手の攻撃が二段トスになった時は、しっかり手を前に出してブロックしようと話しました。今日は全員の手が前に出ていて、それによってブロックとディグの関係も機能しました。一人ひとりが自分の役割を意識すれば、今日のようなバレーが展開できます。これを継続してやっていきたいと思います。

ブラトエフ・ヴァレンティン

バレーボールに限らず、スポーツではどんなに強いチームでも負けることはあります。もちろん一人ひとりが反省することは大事ですが、深く考え過ぎるのもいいことではありません。とにかく一戦一戦に向けてしっかり準備をし、集中力を高めることが大事です。ただ、今日の試合はファイナル6に向けすごく重要だったので、僕自身も集中していました。サーブレシーブに関しても、練習でしっかりやっていることは、試合になっても必ずできると強く思っています。今日の試合に勝てたのは、声援を送ってくださったファンの方々のおかげです。来週のホームゲームも難しい試合になると思いますが、勝てるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

采配ピタリ! 選手が戦術を遂行し、チーム一丸で勝点3をつかむ

浅野とブラトエフのポジションが入れ替わった。「サイドアウト率を改善するため」という高橋監督だが、それ以外にもいくつかの副産物を生んだ。サイドアウト率の改善に関しては、決定率が落ちていたローテーションで西田とブラトエフを前衛に並べることで、二段トスの決定率を上げた。さらに西田の後に浅野がサーブを打つことで、サーブに思い切りのよさが出た。浅野が言う。「ブラトエフがライト側にいるだけで、相手のブロックを引き寄せることができます。それによって、西田に対するマークを緩和することができました。さらに今日は久保山がよくて、トスをうまく散らしたり、パイプも使っていた。前半と中盤はトスを散らし、勝負どころで西田に気持ちよく決めさせていました」。もちろん戦術を遂行した選手の働きは大きい。と同等に、その戦術を組んだスタッフ陣の好采配も忘れてはいけない。文字通り、チーム一丸でつかんだ勝点3だった。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ
第1セット 25 - 19
第2セット 25 - 21
第3セット 25 - 21
第4セット
第5セット
日付 2019年2月3日(日)
試合 V1リーグ レギュラーラウンド 第22戦
場所 堺市金岡公園体育館
メンバー 金丸、ブラトエフ、西田、久保山、秦、浅野 L興梠
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