ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ

立ち上がりから硬さが見られ、終始追いかける展開に。後半に入って西田が奮闘するが、ホームの堺に押し切られた

 重要な一戦だ。相手は7位の堺ブレイザーズ。勝てばファイナル6へ大きく前進するはずだった。全員がそのことを知っていた。しかし、結果は0−3で敗戦。「勝たなければいけない」という気持ちが、かえってチームのブレーキになった。

 硬さはあった。秦が速攻を決めてジェイテクトSTINGSが先制。1月30日に19歳になったばかりの西田が体勢を崩しながら決めてサイドアウトを切る。ブラトエフ、福山もそれに続いた。3連続失点で嫌な空気になったが、浅野が相手コートをよく見てスパイクをたたき込んだ。
 しかし、勢いはホームの堺の方にあった。5−8で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えると、そこからジェイテクトSTINGSが4連続失点。5−12と大きく点差が開いた。ブラトエフがサーブで狙われてうまく攻撃につなげられない。浅野がカバーに入るが、アンラッキーな失点もあった。
 ブラトエフが軟打でブロックアウトを取り、西田が強打をたたき込む。しかし、ブラトエフがサーブレシーブで崩されて、9−17となったところで高橋監督は2回目のタイムアウトを要求。しかし、流れを取り戻すことができない。松原、辰巳を二枚替えで投入するが、1本で切られてしまう。ジェイテクトSTINGSのサーブは機能していたが、簡単に相手に返されてしまう場面もあった。
 秦が決めて13−20。ブロックでボールをつなぎ、西田のスパイクでようやくブレイクポイントを奪う。ブラトエフが決めて16−21。5点差まで詰め寄った。しかし、セットの趨勢は変わらなかった。最後は相手にサービスエースを決められて、18−25で第1セットを失った。

 第2セット、ジェイテクトSTINGSはブロックに安定感がある金丸をスタートから送り込んだ。しかし、すぐに効果は出ない。1回目のテクニカルタイムアウトを4−8。ブロックフォローなど細かいミスもあった。
 浅野のバックアタックが機能した。ブラトエフがネット際で押し込んで8−10。西田、福山が2枚で相手のスパイクを止めて1点差に詰め寄った。西田のサーブも機能し始めた。しかし、西田が止められて連続得点が奪えない。
 気を吐いたのが浅野だ。相手のブロックをうまく利用して得点を重ねる。声を出してチームを引っ張った。フローターサーブからジャンプサーブに切り替えて相手の守備を崩した。ブラトエフがうまくストレートに決めてブレイク。15−15。ついに同点に追いついた。
 しかし、ジェイテクトSTINGSが粘り強さを発揮したのはここまでだった。16−16から5連続失点。粘り負けした。浅野のバックアタックがエンドラインを割る。手痛いお見合いもあった。最後まで流れを取り戻せず、18−25でこのセットを失った。

 第3セットは福山に代えて秦を戻し、ブラトエフに代えて郡を投入した。郡に続いて西田が決めて、幸先よく2点を先行した。しかし、ここから3連続失点。郡が立て続けに止められた。それでも、ジェイテクトSTINGSが懸命に食らいつく。久保山、秦のブロックも決まった。2点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えたが、反撃のチャンスは残されていた。
 ここからは一進一退。西田がレフトから強打をたたき込み、金丸もこの試合で初めてスパイクを決める。やや離れた位置からのトスだったが、相手コートの空いたスペースをうまく突いた。秦も我慢強く決め切った。しかし、相手のプッシュ攻撃の前にブロックとディグの関係が機能しない。一時は同点に追いついたが、すぐに3連続失点。12−15となったところで高橋監督はタイムアウトを要求した。
 2点のビハインドで2回目のテクニカルタイムアウト。ジェイテクトSTINGSが反撃の狼煙を上げる。浅野がライトから決めてサイドアウトを切った。ここで郡に代えてブラトエフをコートに戻す。金丸が値千金のブロック。興梠が上げた二段トスを西田がストレートに決めた。
 西田が躍動した。19−18の場面でサービスエース。リードを2点に広げた。しかし、サービスエースを決められて逆転を許す。サーブレシーブが乱れたわけではない。相手のサーブが上回っていた。ワンポイントで辰巳、松原を送り込むが万事休す。23−25で敗れた。

 悔しいが完敗だ。チームが一つになっていたのは堺の方だった。だが、レギュラーラウンドが終わったわけではない。ファイナル6に進むチャンスは、まだ十分に残っている。大事なのは負けを甘受して、次の試合に向けて切り替えることである。
 まずは明日の東レ戦。もう一度、チームスローガンの「ONE」を取り戻したい。

高橋慎治監督

立ち上がりから選手たちの勝ちたいという気持ちが出ていましたが、うまく機能せずいつものプレーが出せませんでした。第2セットに金丸選手を投入したのは、ブロックを安定させることが目的です。それまでディグが上がっておらず、ワンタッチも取れていなかった。第3セットは、決定率の高い秦選手をコートに戻しました。そのあたりから、ようやく自分たちのバレーを取り戻すことができたと思います。1本1本のボールに対して、執着心を持って戦うことができました。苦しい試合が続いていますが、一戦一戦に全力を尽くして戦います。

金丸晃大

堺さんがいいバレーをしていて、いつもなら決まるスパイクがブロックされたり、拾われたりしました。完敗だったと思います。今日は自分たちに“お見合い”が多く見られた試合でもありました。みんなの勝ちたいという気持ちが出過ぎて、いつもならしないミスが増えてしまったと思います。第2セットに入る時は、少しでも冷静に試合を進めることを意識しましたが、そのまま進んでしまいました。第3セットは郡選手が入り、秦選手が戻って、吹っ切ることができた。いつも通りのバレーができたと思います。明日もジェイテクトSTINGSらしいバレーができるように頑張ります。

浅野博亮

立ち上がりは「勝たないといけない」という思いから全員が緊張してしまい、らしくないプレーが続いてしまいました。それによって、「やらないといけない」というマイナスのスパイラルに陥ってしまったと思います。コートの中ではただの声出ししかできず、会話ができていなかった。それでも、金丸さんが入ってチームが冷静になり、第3セットは郡が入ったことで流れを作ることができました。今日は堺さんもいいプレーをしていましたが、それ以上に自分たちがチームとして成り立っていなかったように思います。気持ちを切り替えて、明日の試合に臨みます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

サーブが弱くなり、相手に押し切られる。もう一度、原点に立ち返りたい

サーブ効果率が10チーム中2位のジェイテクトSTINGSと、サーブレシーブ成功率が10位の堺。試合の焦点は、限りなく絞られていたはずだった。決してサーブの狙いが悪かったわけではない。しかし、ターゲットを意識し過ぎるあまり、サーブの威力が落ちてしまった。浅野が言う。「狙いにいったことで、サーブが弱くなったことも敗因の一つだと思います。サーブで攻めていこうと話し合っても、相変わらず全員にサーブミスが多かった。しかも、勝負どころでフローターサーブをミスしていることもありました」。言うまでもなく、サーブはジェイテクトSTINGSの大きな武器だ。ここが機能すれば、どこと対戦しても対等に戦える。苦しい時こそ原点に立ち返り、サーブで攻めていきたい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ
第1セット 18 - 25
第2セット 18 - 25
第3セット 23 - 25
第4セット
第5セット
日付 2019年2月2日(土)
試合 V1リーグ レギュラーラウンド 第21戦
場所 堺市金岡公園体育館
メンバー 福山、ブラトエフ、西田、久保山、秦、浅野 L興梠
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