ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ

立ち上がりこそ接戦に持ち込むが、サーブレシーブの乱れから失速。第3セットは、スタートから入った袴谷が立て直す

 新たなスタートだ。ここからは一戦一戦が、一つ一つの勝点が、そして1点1点が大きな意味を持つ。ファイナル6進出のボーダーライン上にいるジェイテクトSTINGSにとってはなおさらである。
 3レグ初戦の相手は、レギュラーラウンドの首位を独走するパナソニックパンサーズ。強敵だが、ジェイテクトSTINGSらしいバレーを貫き、ここからの飛躍につなげたい。

 第1セットの入り方は悪くなかった。ブラトエフにトスを集めてサイドアウトを切ると、福山がボールを押し込んで3−2と逆転。西田のスパイクでラリーを制すなど、互角の展開に持ち込んだ。ブロックも集中していた。パナソニックのクビアクからワンタッチを取り、粘り強くボールをつなぐ。3点のビハインドで1回目のテクニカルタイムを迎えたものの、反撃のチャンスは十分にあった。
 その証拠に、秦の速攻が機能し、3連続得点で10−10。ブラトエフも高いパフォーマンスを見せた。
 取られたら取り返す。それが勝負の鉄則だ。西田のスパイクでサイドアウトを切ると、ブラトエフのサービスエースで再び同点。ここまでは郡のサーブレシーブも安定していた。セッターの久保山を軸に多彩な攻撃を展開した。
 流れが変わったのは2回目のテクニカルタイムアウトの直前だ。相手に2本連続でサービスエースを決められた。13−16。福山のサービスエースなどで1点差に迫るものの、再びサーブレシーブが乱れて失点。15−18となったところで、郡に代わって守備力のある浅野がコートに入った。
 しかし、パナソニックの流れは変わらない。ジェイテクトSTINGSのサーブレシーブも崩れた。2度目のタイムアウトもリズムを取り戻すことはできなかった。4連続失点で16−22。秦、西田のスパイクでサイドアウトを切るが、開いた点差は縮まらず19−25で第1セットを失った。

 第2セットは、浅野がそのままスタートから入った。序盤の流れはジェイテクトSTINGSがつかむ。ブラトエフのスパイクなどで3点を先取。しかし、1回目のテクニカルタイムアウトは6−8。浅野、ブラトエフがサーブレシーブを正確に返し、西田、福山のスパイクで得点につなげた。追いかける立場になったジェイテクトSTINGSだが、集中力は衰えていなかった。
 秦の速攻、西田のブロックですぐに追いついた。しかし、あとが続かない。ブラトエフのバックアタックなどでサイドアウトを切るが、9−12となったところで高橋監督はタイムアウトを要求。流れは変わらず、13−18となったところでオポジットを西田から袴谷にスイッチした。さらにリリーフサーバーの松原を投入して反撃のチャンスを狙う。
 それでも、簡単に崩れないのがパナソニックの強さだ。終盤に入って、袴谷が待望の1点を奪う。しかし、反撃もここまで。最後はブラトエフのスパイクが止められて、17−25でこのセットを失った。

 第3セットは、袴谷がスタートから入った。相手に先行を許すが、福山、ブラトエフが立て続けに決めてすぐに同点に追いつく。久保山がアンダーで上げたトスを、袴谷が後衛からしなやかに右腕を振り抜いて強烈なスパイクをたたき込んだ。これで勢いをつかむと、秦がブロックを決めて逆転。浅野も決めて、1点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 その後もペースを握ったのはジェイテクトSTINGSだ。ブラトエフが決めてブレイク。袴谷のスパイクに続いて秦のサービスエースで11−8とリードを広げる。要所で福山の速攻をうまく使って加点。袴谷もバックライトから強打を打ち込む。秦が決めて15−14。相手のスパイクがアウトになったかに思われたが、チャレンジによって判定が覆り再び追いつかれた。それでも、チャンスはジェイテクトSTINGSの方にあった。1点をリードしたまま2回目のテクニカルタイムアウトを迎えたのだ。
 勝負どころの終盤。連続失点が2度続き、17−19とパナソニックにリードを許した。しかし、ジェイテクトSTINGSは諦めない。ブラトエフがサイドアウトを切ると、袴谷のバックアタックが決まって19−19。懸命に食らいつく。
 反撃の予感を感じさせたが、ここから3連続失点。ジェイテクトSTINGSのチャレンジも失敗し、苦しい展開になった。ブラトエフのブロックで20−22。ワンポイントで辰巳がコートに入った。リリーフサーバーの松原を送り込むなど最後まで粘りを見せた。
 袴谷がこの日の10点目を決める。しかし、最後までパナソニックの牙城を崩せず、22−25で敗れた。

 3レグは黒星からのスタートとなった。2レグから続く連敗の数は「4」。しかし、下を向く必要はない。敗れはしたものの、途中から入った袴谷がチームを立て直したのはジェイテクトSTINGSにとって好材料だ。
「(3レグは)プレッシャーがかかる中での試合になるが、そこを乗り越えなければ強いチームにはなれません。目の前の試合に全力を尽くして戦います」
 試合後にこう意気込みを語った高橋監督。落とした星は取り戻せない。大事なのは、気持ちを切り替えて明日のVC長野戦に臨むことだ。

高橋慎治監督

被ブロック、サーブミスなど失点に直接つながるプレーも多かったが、それ以外にもイージーボール、二段トスといった失点に直接つながらない細かいミスも出てしまいました。ただ、第1セットは、数字だけを見ると、スパイク決定率はよかったように思います。要所でミスが出てしまい、自分たちに傾きかけていた流れが止まってしまいました。もっとできるし、選手たちはそれだけの力を持っている。チームとして戦っていかなければいけません。明日もすぐに試合があるので、気持ちを切り替えて、今日の負けが無駄にならないように戦っていきます。

浅野博亮

サーブレシーブで最初にリズムを崩されて、二段トスの勝負になってしまいました。その結果、西田選手やブラトエフ選手のストレスが溜まってしまったと思います。アウトサイドヒッターは最近、サーブレシーブを崩される場面が増えてきました。そこが悪いリズムを作っている原因だと思います。自分も同じアウトサイドヒッターとして、他のメンバーとしゃべりながら何とか雰囲気を作っていきたいと思いました。サーブに関しては、練習でもっと厳しさを出さなければいけません。よく言われることですが、サーブは一人で完結できるプレーです。チームというより個人の問題。一人ひとりが意識を高めて取り組んでいきたいと思います。

袴谷亮介

久しぶりに長い時間コートに立ったこともあり、最初は少し硬くなってしまいました。ただ、セットが変わってからは、セッターが自分を使ってくれたこともあり、1本をしっかり決めたあたりから乗っていくことができたと思います。周りもすごくカバーしてくれて、楽にプレーすることができました。僕たちがすぐにバックアップできるようにしておけば、チーム全体もよくなると思います。自分のプレーも大事ですが、若い選手が気持ち的に落ち込まないよう、精神面をサポートしていきたい。もちろん自分も諦めたわけではないし、練習でもいいパフォーマンスを出せています。次は第1セットのスタートから使ってもらえるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

明暗を分けたサーブミスの差。今まで以上に1本1本を大事にしたい

公式記録によると、ミスによる失点はパナソニックの「11」に対してジェイテクトSTINGSは「21」もある。気になったのが、サーブミスによる「13」の失点だ。もちろん攻めた上でのミスは責められない。しかし、ブレイクを取ったあとのサーブなど、いい流れに変わり始めた場面でのミスが印象に残る。数えてみると、ブレイクを取ったあとのサーブミスは「5」本あった。「もう1点」や「あと1本」が遠かった。「2レグまでのサーブミスを洗い出し、ミーティングでも話し合ってきました。ただ、相手のターゲットをしっかり狙えている時は、いい展開に持ち込めています。今日はミスが続いたこともあり、うまく機能しなかった。効果が出ない時はスタッフが早めに対応する必要もあったと思います」。サーブについてこう話した高橋監督。3レグはどこのチームも全力でぶつかってくる。今まで以上に1本1本を大事に戦いたい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ
第1セット 19 - 25
第2セット 17 - 25
第3セット 22 - 25
第4セット
第5セット
日付 2019年1月26日(土)
試合 V1リーグ レギュラーラウンド 第19戦
場所 松本市総合体育館
メンバー 福山、ブラトエフ、郡、西田、久保山、秦 L興梠
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