ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ

会心の立ち上がり。セッター久保山が巧みにトスを散らして得点を量産。ブラトエフのサーブも機能した。勝負どころの戦い方が今後の課題か

 2レグの最終戦である。順位争いは稀に見る混戦。アウェイとは言え、勝って3レグに弾みをつけたい。それが、チーム、ファン、ジェイテクトSTINGSに関わるすべての人に共通する思いだ。

 試合の入り方は完璧だった。今年に入って負けなしと好調のJTサンダーズを、わずか14点に抑えたのだ。これ以上ないスタートと言っていいだろう。
 ジェイテクトSTINGSは立ち上がりから落ち着いていた。4−5でサーブが回ってくると、ブラトエフが攻めた。相手のサーブレシーブを崩すと、チャンスボールを確実にものにしていく。ブラトエフのバックアタックで6−5と逆転。郡も決めて突き放した。西田も好調をキープ。2点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 郡も体調不良から完全復活。スパイク、ブロックで3連続得点を奪い、11−7とリードを広げる。ここでJTが1回目のタイムアウトを要求。しかし、ジェイテクトSTINGSは攻撃の手を緩めない。秦のブロックが決まって13−7と一方的な展開に持ち込んだ。
 我慢の時間帯も、リベロの興梠を軸に懸命に守った。リリーフサーバーの松原を投入。西田、ブラトエフのブロックが炸裂した。西田のスパイクで18−9。さらにアウトになったかに思われた福山のスパイクが、チャレンジによって判定が覆る。これでジェイテクトSTINGSが完全に主導権を握った。
 袴谷を投入して勝負に出る。秦のブロックでセットポイント。最後は郡が決めて、ジェイテクトSTINGSがそのまま走り切った。

 第2セットもジェイテクトSTINGSの勢いが止まらない。ブラトエフのスパイクでサイドアウトを切ると、秦のサービスエースなどで4連続得点。相手のミスを誘ってペースをつかむ。西田も強烈なサービスエースを決めて、6−2とリードを広げた。
 サイドアウトの応酬が続く。この日のジェイテクトSTINGSは簡単に崩れない。久保山のトスワークも落ち着いていた。サイドに散らして相手を揺さぶり、要所で速攻を使って確実に加点。相手に流れが傾きかけたところで、ブラトエフが強烈なサーブを突き刺す。ブラトエフのバックアタックで16点目。5点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 西田、郡のスパイクが止められて3連続失点を喫した。ここで高橋監督はタイムアウトを要求。ベンチワークも冴えていた。西田のスパイクで嫌な流れを断ち切ると、浅野を投入して守備を固める。しぶとく1点を取りにいった。西田が気迫のこもったスパイクでセットポイントを奪う。ジェイテクトSTINGSが25−22。最後はブラトエフが締めくくった。

 しかし、これがアウェイの洗礼か。第3セットに入ると、試合の流れが一気にJTの方へ傾き出す。嫌な空気を察したのか、西田が鬼気迫る勢いでスパイクをたたき込んだ。ブラトエフもネット際で強さを発揮。懸命に食らいついた。しかし、サーブレシーブの乱れを突かれて、3連続失点。3−6となったところでジェイテクトSTINGSが早くもタイムアウトを要求した。
 久保山のブロックなどで流れを取り戻した。郡のノータッチエースで1点差に迫った。ここから一進一退。秦の速攻を効果的に使って、トスをサイドに振った。ブラトエフ、西田が確実に決める。郡も続いた。
 均衡を破ったのがブラトエフだ。17−20の場面でサーブが回ってくると、2本連続でエースをたたき込んだ。ドライブ回転がかかったボールが白帯すれすれを通過し、相手の腕を弾き飛ばした。しかし、大事なところで連携ミスが出た。22−25で失セット。ジェイテクトSTINGSからすれば、もったいない落とし方だった。

 第4セットも接戦だった。気を吐いたのが西田だ。積極的にトスを呼び込み、強烈なスパイクを相手コートに突き刺した。
 しかし、6−5から5連続失点。サーブレシーブが崩れた。これでジェイテクトSTINGSが追いかける立場になった。郡が後衛に下がったところで浅野とスイッチ。西田のスパイクでラリーを制すなど、守備でリズムを取り戻した。10−14からブラトエフが再び2本連続でサービスエース。2点差まで追い上げた。
 サーブレシーブが安定していれば、センター線の速攻も機能する。ブラトエフのバックアタックなどで僅差をキープした。このセットは、サーブレシーブの成否が明暗を分けた。終盤に4連続失点。苦しい展開に追い込まれた。それでも、福山のブロックや西田のスパイクで4連続得点を奪い返す。浅野も好レシーブを見せた。しかし、反撃もここまで。20−25でこのセットを落とし、勝負の行方は第5セットに持ち込まれた。

 第5セット、ジェイテクトSTINGSが3点を先行した。秦のCクイックが鮮やかに決まった。西田もブロックを決めた。欲を言えば、ここで走りたかった。しかし、ホームのJTが牙をむき出しにして襲いかかってくる。長いラリーを落として4−5。先にタイムアウトを取ったのは、ジェイテクトSTINGSの方だった。
 浅野が前衛に回ってきたところで郡が入った。高さで相手にプレッシャーをかけた。ここからは互いに1点ずつを取り合う展開。西田がサーブで攻めてブラトエフが決めた。11−11。同点に追いついた。しかし、あと1点が遠い。ブラトエフのスパイクがJTのエドガーに止められた。
 11−13。相手のマッチポイントを一度はしのいだが、福山のサーブがネットにかかり試合終了。13−15で敗れた。

 2レグの最終戦は、2レグを象徴する試合になってしまった。勝負どころで点が取れない。サーブレシーブの乱れによる連続失点もあった。
 光明はある。郡は相手に脅威を与える存在になった。秦とセッターのコンビネーションも合いはじめた。ブラトエフのサーブは相変わらず強烈だし、西田もトップフォームを取り戻しつつある。3レグに巻き返すチャンスは十分にある。
「一戦一戦、落とせない試合が続きます。目の前の試合を死ぬ気で勝ちにいきます」
 高橋監督の目に光が宿った。クライマックスまで全力で駆け抜ける。

高橋慎治監督

試合の入りがよかっただけに、最後まで取り切れなかったことが悔しいです。強いチームを相手にした時に取り切れないところが、自分たちの弱さと言えるでしょう。ここを取り切るには、やはり1本1本に対する意識を高めることが重要です。第3セット以降は、相手に点数を与えてしまうミスが増えてきました。集中していないわけではない。ただ、プレッシャーがかかる中でも精度の高いプレーをしていかないと、強いチームにはなれません。最後まで調子のいい状態をキープできるチームが強いチームです。ジェイテクトSTINGSの選手たちはそれができる能力を持っています。3レグに向けて、そこを突き詰めていきたいと思います。

久保山尚

JTはブロックがよく、後ろで守っている選手もディグの能力が高い。そのため、ラリーになると粘り負けしてしまうことが多かったように思います。第4セットなど、我慢するべきところで、サーブレシーブが乱れることも多かった。個人としてもチームとしても、苦しい時にどうカバーするかを詰めていかなければいけません。今日で2レグが終わりました。個人的には、以前に比べてデータは取られているけど、それに対する選択肢の幅が広がってきたように思います。これを結果に結びつけられるように取り組んでいきたい。非常に混戦ですが、必ずファイナル6に進むという強い気持ちを持って、みんなで一つになって戦っていきます。

郡浩也

第1、2セットはサーブもブロックも機能していたし、僕自身、攻める気持ちを持って戦うことができました。今日で2レグが終わりましたが、自分としては、スパイクは通用するというか上位が相手でも戦えると思っています。課題はディフェンス。サーブレシーブでリズムを作りたいのに、僕自身ができていません。攻撃の面では、僕の武器でもあるバックアタックの打数をもっと増やしたいですね。与えられたチャンスの中でアピールはできていると思います。3レグもチャレンジ精神でガンガン攻めていきたい。大事な場面でサーブレシーブをしっかり返すことも重要です。そして、決め切る。大事な時に大事なことができる選手になりたいです。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

第2セットと第3セットの間に変わった流れ。セット間の過ごし方も上位進出のポイントになるか

新生Vリーグの特徴の一つが、第2セットと第3セットの間に行われるホームゲームイベントだ。10分。短いようで長いこの時間が、ゲームの流れを変えることがある。今日に限っては、2セットを先行したジェイテクトSTINGSの方にマイナスの効果をもたらした。だからと言って、チームが気を緩めたわけではない。ブラトエフは早めにコートに入ってボールに触っていたし、西田の表情も引き締まっていた。むしろ、JTの方がギアをトップに入れてきたと言える。調子のいい選手を第3セットのスタートから起用し、エドガーの決定力が上がり出した。「簡単には勝たせてくれないというのはわかっていました。仕切り直そうという話を選手同士でしていたし、コーチ陣からもそういう声がけをしていた。第3セットからリスタートするつもりで入りました」と高橋監督。今後、セット間の過ごし方も、白星を重ねていく上で大事な要素になりそうだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ
第1セット 25 - 14
第2セット 25 - 22
第3セット 22 - 25
第4セット 20 - 25
第5セット 13 - 15
日付 2019年1月19日(土)
試合 V1リーグ レギュラーラウンド 第18戦
場所 松江市総合体育館
メンバー 福山、ブラトエフ、郡、西田、久保山、秦 L興梠
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