ジェイテクトSTINGS VS VC長野トライデンツ

ミスが続いて失セットからのスタート。第2セットから入った金丸、浅野がチームを立て直し、福山、西田の活躍などで3セットを連取する

 2019年が幕を開けた。V1リーグのレギュラーラウンドは14戦目、ちょうど折り返しに差し掛かっている。順位争いは熾烈だ。確実に勝点を重ねていきたい。新年最初の試合にしっかり勝って勢いに乗りたいというのは、すべての選手に共通する思いだろう。
 ジェイテクトSTINGSの布陣に変化があった。ブラトエフの対角に入ったのは郡。オポジットは西田。福山と秦がセンター線を組み、セッターには中根が抜擢された。リベロは守護神の興梠が務める。

 第1セットは苦しい展開になった。郡のスパイクでジェイテクトSTINGSが先制。しかし、あとが続かない。原因はサーブミスだ。15−16で迎える2回目のテクニカルタイムアウトまで、実に7点をサーブミスで失っている。西田のスパイクなどで接戦に持ち込むが、試合のイニシアチブはVC長野トライデンツが握っていた。
 サーブレシーブも機能せず、ブレイクポイントを奪われて16−19。ここで高橋監督は1回目のタイムアウトを要求する。ここから秦、福山の速攻がかみ合い、一進一退の展開に持ち込んだ。ブラトエフも存在感を発揮した。しかし、VC長野が気迫で上回っていた。ワンポイントで廣瀬を投入するが最後まで流れは変わらず、21−25でこのセットを失った。

 チームを救ったのは、第2セットから入ったベテランだ。金丸、浅野が入ってチームは落ち着きを取り戻す。さらに西田がトップフォームを取り戻し、得点を重ねていった。1点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを奪った。さらに西田がスパイク、ブロックを決めて一人で3連続得点。11−8と突き放した。
 ブラトエフも高い打点から強打をたたき込み、ジェイテクトSTINGSが4連続得点。一時は2点差まで追い上げられたが、3点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎える。
 西田のスパイク、ブラトエフのサービスエースで連続得点。リードが4点に開いたところで、VC長野が2度目のタイムアウトを消化する。あとは落ち着いてこのセットを終わらせるだけだった。リリーフサーバーに松原を投入して勝負に出た。
 福山がブロックで口火を切ると、西田、ブラトエフが立て続けにスパイクを決めて4連続得点。25−18でこのセットを締めくくった。

 第2セットと同じ布陣で第3セットをスタート。立ち上がりに金丸のブロックが炸裂した。さらにブラトエフのスパイクをきっかけに、福山、中根が立て続けにブロックを決める。8−7と逆転。福山の速攻でラリーを制すと、試合の流れがジェイテクトSTINGSへ一気に傾いた。
 金丸がネット際でプレッシャーをかけると、ブロックポイントなどで3連続得点。14−11とリードを広げた。ジェイテクトSTINGSは持ち味のディグも機能した。15−13の場面。相手のスパイクをコースに入っていた浅野が体で止めた。西田がアンダーで上げたボールを、浅野がコート中央から打ち抜いた。これで16−13。ジェイテクトSTINGSのリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 ここからは互いに1点ずつを奪い合う展開。西田が高い決定力を示した。浅野のブロックポイントで22−17。最後まで集中力を切らさなかったジェイテクトSTINGSが、西田の連続得点で25−20とした。

 第4セットはVC長野に先行を許した。西田のブロック、福山の速攻などで得点を重ねたが、4−8で1回目のテクニカルタイムアウトを迎える。
 しかし、ジェイテクトSTINGSは慌てない。ベンチも動いた。7−12の場面でセッターを中根から久保山にスイッチ。その久保山のサーブはアウトになったかに思われたが、チャレンジが成功してスコアが覆った。流れは変わりつつあった。久保山は丁寧なトスでアタッカーの能力を最大限に生かす。西田のスパイクでブレイクポイントを奪い、1点差に迫った。我慢の時間帯も、福山の速攻で粘り強くサイドアウトを切った。
 均衡が破れたのは後半に入ってからだ。ブラトエフのバックアタック、浅野のブロックでついに18−18の同点。西田が鋭角にたたき込んで21−20と逆転に成功する。福山の値千金のブロックが決まってリードを2点に広げた。福山の速攻でマッチポイント。最後はブラトエフのサーブがネットにかかって、相手のコートにポトリ。サービスエースを決めて25−23とし、セットカウント3−1で勝利を奪った。

 勝点3を手に入れた。選手が見せた安堵の表情が苦しかった試合展開を物語っていた。ヒーローインタビューは福山。「勝負どころでブラトエフや西田がきっちりスパイクを決めてくれて、リードされても諦めずに戦い抜くことができた」と勝因を語った。
 明日はFC東京と対戦する。1レグは3−0で勝っているが、決して油断ができない相手だ。今日の試合で浮き彫りになった課題を修正し、万全の準備をして臨みたい。

高橋慎治監督

立ち上がりの雰囲気は決して悪くなかったと思います。気持ちも入っていました。ただ、プレーと気持ちがうまくかみ合わず、ミスの連続につながってしまいました。第2セット以降は、徐々に自分たちのバレーができるようになってきました。そこはプラスに考えつつ、課題をしっかり修正し、気持ちを引き締めて明日の試合に臨みたい。新年最初の試合で勝点3を奪えたことは、ポジティブに考えたいと思います。とにかく先を見ずに、目の前の1試合に集中すること。そこに全力で向かっていけるように、スタッフも含めてしっかり準備し、チーム一丸となって戦っていきます。

浅野博亮

チームが強くなるためには、誰が出ても勝てるようにならなければいけません。その点で今日の試合は、いい内容とは言えないと思います。途中から入った金丸さんや久保山が勝負どころで点を取ってくれました。自分自身、第2セットから入りましたが、正直なところドキドキでした。ただ、サーブレシーブはずっと練習してきたし、ミスを少なくするということをこの2週間で取り組んできた。そこは徹底してできたと思います。明日の試合はジェイテクトSTINGSらしくサイドアウトをしっかり取り、持ち味のディグでボールを拾って得点につなげたいと思います。

中根聡太

みんなが「お前のやりたいようにやれ」と言ってくれたので、その思いに応えたいと思ってコートに入りました。内容はそれほど悪くなかったと思いますが、久保山さんが入った時のような落ち着きを自分も出していきたいと思っています。自分の長所は雰囲気づくりです。また、相手のブロックを外したり、アタッカーに思い切りたたかせるなど、トス回しの部分ももうちょっとうまくやっていきたい。今日の試合は、逃げのトス回しをしてしまったという反省点が残ります。またチャンスがあれば、僕の持ち味を生かし、いい雰囲気を作れるように頑張っていきます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

変化があった布陣。中根の存在は上位進出の起爆剤になる

開口一番「悔しい」と言った中根の声はガラガラに枯れていた。コートの内外に関わらず、大きな声でチームを鼓舞し続けた証拠だ。雰囲気づくりが中根の真骨頂。初スタメンということもあり、確かに立ち上がりのトスワークには硬さがあった。第4セットは、途中から入った久保山が試合を落ち着かせている。しかし、チームが強くなるためには、中根の力が絶対に必要だ。「速攻やパイプなど真ん中からの攻撃をうまく使えるのが中根の強み。また、よく声を出してチームを盛り上げてくれる」と高橋監督も高く評価。反省は次の試合で生かせばいい。チャレンジの方向性は間違っていない。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS VC長野トライデンツ
第1セット 21 - 25
第2セット 25 - 18
第3セット 25 - 20
第4セット 25 - 23
第5セット
日付 2019年1月5日(土)
試合 V1リーグ レギュラーラウンド 第14戦
場所 広島県立総合体育館
メンバー 福山、ブラトエフ、郡、西田、中根、秦 L興梠
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