ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ

つなぎのプレーが機能せず、終始、東レにペースを握られる。セッターの中根がムードを変えるが、反撃も及ばなかった

 年内最後の試合は、悔しい敗戦となってしまった。天皇杯・皇后杯全日本バレーボール選手権の準々決勝。ジェイテクトSTINGSは東レアローズにストレート負け。V1リーグの再開に向けて、多くの課題を残す結果となった。

 慎重な立ち上がりだった。ジェイテクトSTINGSはブラトエフのバックアタックで先制。さらに西田のサービスエースなどで5−2と幸先よくリードを奪う。しかし、東レの高いブロックに苦戦。ブラトエフ、西田のスパイクが止められると、1点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 セッターの久保山はパイプを絡めながら、サイドにトスを散らして攻撃を組み立てる。ブラトエフのブロックなどでジェイテクトSTINGSが粘り強く加点。要所で福山、浅野もスパイクを決めて、16−15とリードを奪った。
 我慢の時間帯も、金丸の速攻などでサイドアウトを切った。しかし、ブラトエフのスパイクが止められるなど、一時は19−22とリードを許す。
 福山の速攻でサイドアウトを切ると、ここからジェイテクトSTINGSが本領を発揮。ブラトエフが2本連続でサービスエースを決めて、ついに同点に追いつく。サーブレシーブが乱れて先にセットポイントを与えたが、金丸が起死回生のブロックを決めて勝負の行方をジュースに持ち込んだ。
 最後は浅野のスパイクがネットを越えず24−26。失セットを喫したが、ジェイテクトSTINGSの粘り強さが光った展開となった。

 しかし、第2セットは試合の流れが一気に東レへと傾いてしまう。立ち上がりに西田のスパイクが2本連続で止められた。ここで勢いを失うと、4点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウト。西田、金丸のスパイクでサイドアウトを切るものの、6−11となったところで高橋監督は1回目のタイムアウトを要求する。
 流れを変えたのが代わって入ったセッターの中根だ。得点を取れば、誰よりも元気にコートを駆け回った。チームのムードを明るくした。西田のスパイクなどでビハインドを3点に縮めた。浅野も粘り強く決めた。
 ブラトエフも調子を上げてきた。西田が強烈なスパイクをたたき込んで17−19。しかし、サービスエースを決められたところで高橋監督は2回目のタイムアウトを要求する。一進一退の展開が続くが、ジェイテクトSTINGSは連続得点が奪えない。袴谷、松原を投入したが反撃及ばず、20−25でこのセットを落とした。

 あとがなくなったジェイテクトSTINGS。しかし、第3セットに入っても、流れを取り戻せない。西田が我慢強く得点を重ねるが、6−7から3連続失点。浅野、ブラトエフのスパイクでも流れを引き戻せず、8−11から5連続失点。相手のフローターサーブに崩された。早くも2度のタイムアウトを消化。福山や途中から入った袴谷のスパイクはアウトになった。ジェイテクトSTINGSが完全に追い込まれた。
 福山の速攻で流れを断ち切ったが、反撃するにはあまりにも点差が離れていた。それでも、久保山がアンダーで上げたトスを浅野が粘り強く決める。
 しかし、13−19から3連続失点。しつこくボールに食らいつくが、得点にはつながらない。袴谷のスパイク、ブラトエフのバックアタックも立て続けに止められた。攻撃の手数を失った。西田をコートに戻すが万事休す。大事な場面でサーブミスが続いて、東レにマッチポイントを与えた。最後まで流れを取り戻せず16−25。ストレート負けを喫した。

 2018年の公式戦がすべて終わった。思い起こせば、西田の衝撃のデビューで幕を開けた一年だった。
「いい状態で終わるよりも、悪い状態で終わることで課題がはっきりとわかった。そこをしっかりと見つめ直して、チームとしてさらにレベルアップできるようにしていきたい」
 そう振り返った西田。高橋監督も「リーグ戦や天皇杯で出た課題を修正して、年明けのV1リーグからもう一度、成長した部分を出していきたい」と意気込みを語った。次戦は2019年1月5日のVC長野戦だ。天皇杯は苦杯を喫したが、助走は長い方が高く飛べる。2019年のスタートダッシュに期待したい。

髙橋慎治監督

自分たちのバレーを出そうとしながらも、なかなか攻め切ることができませんでした。リーグ戦の再開に向けて、もう一度、ブロックとレシーブを修正しなければいけません。ブロックの位置取りや形、レシーブの質もそう。レセプションもそうだし、コンビもあります。すべてが課題ですね。まずは帰ってからもう一度、じっくりと振り返りたい。自分自身の采配も含め、年末にかけて修正したいと思います。年明けの試合でいいスタートを切るには、この3週間が大事な時間になります。1日1日しっかり練習に取り組んで、またジェイテクトSTINGSらしい全員バレーが展開できるように頑張ります。

興梠亮

お互いに様子を見ながら試合に入ってしまったことが、先に行けなかった要因かもしれません。失点に直接つながるプレーも多く、そこでリズムが作れませんでした。相手は李選手が入ったことで、攻撃の幅が広がったように思います。そこに対応し切れませんでした。自分たちは今シーズン、速攻を多めに使ってきて、それが機能している時はいいバレーができています。そこはこれからもストロングポイントにしていかなければいけません。サーブも練習を重ねているので、どんどん攻めていきたい。年明けのリーグ戦に向けて、課題をしっかり修正して臨みたいと思います。

西田有志

今日の負けは、自分たちの弱いところがすべて出てしまいました。チームとしてしっかり向き合わなければいけません。個人的にも、何のスキルも出せませんでした。この一年、自分の中ではプレーに対する向き合い方や1点に対する貪欲さが変わりました。特に海外の選手は、1点に対する思いが日本人選手以上に強い。パナソニックのクビアク選手は、そういうプレーが輝いています。自分も真似しないといけないし、どんな表現でチームに還元していくかが重要です。リーグ戦では、上位チームと対戦しても内容は悪くありません。年明けまでに課題を克服して、チームを進化させたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

ブロックフォローやつなぎのプレーが今後の課題か。リーグ再開に向けて立て直したい

第2セットの立ち上がりに課題が集約されていた。0−1の場面だ。サーブレシーブが乱れ、やや乱れた体勢から久保山がライトにトスを上げる。合わせにいった西田のスパイクが相手にブロックされ、はね返ってきたボールは自コートの空いたスペースにポトリと落ちた。リバウンドが取れない。さらに同じ位置から放ったスパイクも、東レの高いブロックに阻まれた。次のプレーは軟打で得点につなげたが、2本の被ブロックで西田に迷いが出た。今シーズン、ブロックフォローやつなぎなど数字に表れにくいプレーが上位陣との差になっている。「リーグ戦も含め、最近の試合は被ブロックが多い。確かにそこも課題です。リーグ戦と天皇杯で出た課題を、年末年始で修正したい」と高橋監督。決して内容の悪い試合をしているわけではない。差はわずかだ。ジェイテクトSTINGSが目指す全員バレーの構築に向けて、立て直す時間は十分にある。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ
第1セット 24 - 26
第2セット 20 - 25
第3セット 16 - 25
第4セット
第5セット
日付 2018年12月16日(日)
試合 平成30年度 天皇杯・皇后杯 全日本バレーボール選手権大会 準々決勝
場所 武蔵野の森総合スポーツプラザ
メンバー 金丸、福山、ブラトエフ、西田、久保山、浅野 L興梠
Photo