ジェイテクトSTINGS VS 福山平成大学

西田のサーブが要所で炸裂。ブラトエフも強打をたたき込んだ。相手に流れが傾きそうな時も全員で踏ん張った

 平成最後の天皇杯・皇后杯全日本バレーボール選手権が幕を開けた。ノックアウト方式の天皇杯は、Vリーグとは異なる緊張感がある。舞台は武蔵野の森総合スポーツプラザ。ジェイテクトSTINGSの初戦の相手は、今年のインカレで準優勝を果たした福山平成大学だ。大学生とはいえ、決して侮ることはできない。

 立ち上がりの大切さを知る浅野のサーブで試合がスタート。ブラトエフが決めて、ジェイテクトSTINGSが幸先よく先制した。その後も、セッター久保山を軸に、センター線の速攻を絡めた攻撃を展開。福山、金丸が確実に決めて、1回目のテクニカルタイムアウトを8−6で奪った。
 ブラトエフの好レシーブを得点につなげてブレイク。さらにブラトエフのスパイクでサイドアウトを切ると、11−9で西田にサーブが回ってくる。強烈なボールをたたき込んでエースを獲得。12−9と点差が開いたところで、福山平成大は1回目のタイムアウトを要求した。ここから西田もエンジン全開。チャンスを確実にものにして、16−11とリードを広げる。
 しかし、相手は今年のインカレでノーシードから勝ち上がってきた大学バレーの雄だ。西田、ブラトエフのスパイクが止められるなど、一時は17−16と1点差まで追い上げられた。しかし、ブラトエフのスパイクで嫌な流れを断ち切ると、要所で西田のサーブが爆発。2本連続のサービスエースで、23−18と再び突き放した。西田のバックアタックでセットポイントを奪うと、ジェイテクトSTINGSが第1セットを25−20で競り勝った。

 第2セットも一進一退。一瞬たりとも気の抜けない戦いが続く。久保山はブラトエフにトスを集めて攻撃を組み立てる。そのブラトエフは、相手のブロックが3枚ついてきても、巧みにかわして着実に加点。浅野、金丸も続き、1点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 ここからギアを1段階アップしたジェイテクトSTINGS。西田、ブラトエフが続けて決めて9−8と逆転。西田のサービスエースも決まり、11−9と福山平成大を突き放した。
 この日のジェイテクトSTINGSは我慢の時間も続いた。しかし、粘り強く得点を重ねていくことが、このチームの真骨頂と言っていい。リベロの興梠を軸に、守備も安定していた。大事なところで得点を稼いだのがキャプテンの浅野だ。さらに浅野のブロックでブレイクポイント。ジェイテクトSTINGSがもう一段、ギアをアップした。西田が続いて16−13。完全に試合の主導権を握った。
 あとは落ち着いてセットを終わらせるだけだった。廣瀬がコートに入って、前衛の厚みが増した。リリーフサーバーの松原を投入して勝負に出る。金丸が決めてセットポイント。最後は西田のスパイクでジェイテクトSTINGSが25−21とした。

 ジェイテクトSTINGSのギアがトップに入った。第3セットの序盤、福山が決めて5−5とすると、ここから一気に加速する。ブラトエフがサーブで攻めて、浅野が柔らかいボールを相手コートにポトリと落とす。ブラトエフのバックアタックで7−5。勢いが止まらない。ラリーを制するスパイクを決めた浅野が、ブロックで加点。ジェイテクトSTINGSが9−5とリードを広げた。
 しかし、福山平成大は最後まで気持ちをむき出しにして向かってきた。12−11と一時は1点差まで追い上げられる。しかし、ジェイテクトSTINGSはブラトエフのブロックなどで3連続得点。4点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 ジェイテクトSTINGSも最後まで集中力を切らさなかった。浅野、西田が粘り強く得点を積み重ねる。ブラトエフのスパイクでサイドアウト。松原のサーブで完全に勢いをつかんだ。サービスエースを決めて24−19。最後は相手のサーブがミスとなり、ジェイテクトSTINGSが25−20でこのセットを奪取。3−0のストレート勝ちで、準々決勝に駒を進めた。

 簡単な試合ではなかった。流れを持っていかれそうな場面は何度かあった。しかし、崩れそうな時も、キャプテンの浅野を軸に全員が踏ん張った。
「選手たちがよく我慢して、自分たちのバレーを展開してくれました。相手の福山平成大は非常にいいチームで個々がよくまとまっていた。押される部分もあったけど、最後はVリーグの意地を見せられたと思います」
 こう振り返って安堵の表情を見せた高橋監督。明日の準々決勝は東レと対戦する。一つひとつ勝ち星を重ね、頂点をつかみ取りたい。

髙橋慎治監督

相手に合わせるのではなく、どんな状況でも自分たちのバレーが出せるように練習に取り組んできました。リーグ戦もありますが、天皇杯は天皇杯で一つずつしっかり勝っていくことが重要です。どのような結果になろうと、ここで出た課題を年末でしっかり修正し、年明けのリーグにつなげていきたいと思っています。明日の相手は東レさんですが、「次こそは」という気持ちで向かってくるでしょう。リーグ戦よりも厳しい戦いになると思います。立ち向かってくる相手に対して、絶対に受け身に回ってはいけません。先のことを考えず、まずは次の一戦に集中していきたいと思います。

金丸晃大

公式戦のコートに立つのは2週間ぶりになりますが、練習でしっかりコンビを組んできました。チームの雰囲気もよく、違和感なく入れたと思います。対戦相手の福山平成大はインカレで準優勝しており、強いチームだということはわかっていました。大学生は1、2本のスパイクで勢いを持ってくる力がありますが、浅野キャプテンを中心に気を引き締めて臨むことができました。ジェイテクトSTINGSも12月から大学生が加わり、また違ったチームになります。このメンバーで戦うのはこの大会が最後なので、優勝したいという思いは強いですね。明日も全員で気を引き締めて臨みます。

ブラトエフ・ヴァレンティン

コンディションは決してベストではありませんが、できる限りの力を尽くさなければいけません。今日は大学生が相手でしたが、軽く見ないことが重要でした。福山平成大はレベルが非常に高く、とても驚きました。将来性のある若い選手がたくさんいます。しかし、私たちはV1リーグのチームなので絶対に勝たなければいけません。しかも、監督やコーチをはじめ、スタッフは昨夜からしっかりと相手を分析してくれた。その意味でも、いい準備ができたと思っています。明日も難しい試合になるでしょう。しかも、対戦相手の東レは徐々に調子を上げています。とにかくベストを尽くしたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

難しい初戦にもチームは崩れなかった。全員で価値ある勝利をつかむ

今年の天皇杯も、1回戦からいくつかのアップセットがあった。V1リーグに所属するチームが、大学生に負けたのだ。そこに天皇杯の難しさがある。ジェイテクトSTINGSの初戦で対戦した福山平成大もいいチームだった。「迫田選手を中心に思い切った攻撃をしてくるし、ミドルブロッカーもいいスパイクを打ってきます。そこに時間差などのコンビが入ってくる。個々のよさを生かした攻撃をしていたし、守備でも全員で拾ってつなぐ意識が高かった。インカレで準優勝しただけの実力はあると思います」。高橋監督は福山平成大をそう評価した。しかし、今日のジェイテクトSTINGSは崩れなかった。立ち上がりから勢いがあったし、浅野を中心に全員から声が出ていた。流れを失いそうな時も、全員で踏ん張った。全員でつかんだ価値ある勝利と言えるだろう。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 福山平成大学
第1セット 25 - 20
第2セット 25 - 21
第3セット 25 - 20
第4セット
第5セット
日付 2018年12月15日(土)
試合 平成30年度 天皇杯・皇后杯 全日本バレーボール選手権大会 2回戦
場所 武蔵野の森総合スポーツプラザ
メンバー 金丸、福山、ブラトエフ、西田、久保山、浅野 L興梠
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