ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ

ブラトエフに代わって郡が先発出場。西田のサーブで主導権を握るが、終盤のあと1点が遠かった

 V1リーグは年内最後の一戦となった。来週からはじまる天皇杯のことを考えれば、手ごたえをつかんで試合を終えたい。強敵のパナソニックパンサーズが相手とはいえ、それがチーム全員の共通認識だ。気持ちの入った立ち上がりに、ジェイテクトSTINGSの強い意志が表れていた。

 ジェイテクトSTINGSの1点目は郡だった。この日、ブラトエフは体調不良のためベンチ外。しかし、ケガから復帰した背番号「8」が思い切りのいいプレーでチームを引っ張った。福山の速攻でサイドアウトを切ると、相手のミスを誘って連続得点。西田、郡が豪快にバックアタックをたたき込んで、8−4とリードを広げる。
 セッターの久保山もアタッカー陣を巧みにコントロール。西田にトスを集めて相手のマークを分散すると、要所で秦が速攻を決めて試合の主導権を握る。12−6となったところで、パナソニックは1回目のタイムアウトを要求。しかし、ジェイテクトSTINGSは攻撃の手を緩めない。西田、郡のフレッシュなメンバーがコートを所狭しと駆け回り、次々と得点を重ねていく。
 7点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えると、郡のバックアタックに続いて、福山のノータッチエースでブレイク。守備では、リベロの興梠を軸にサーブレシーブが安定。攻守のリズムをつかんだジェイテクトSTINGSが快進撃を見せる。秦が高い打点から速攻を決め、郡も強打を連発。浅野が決めてセットポイント。最後は秦が速攻を決めて、ジェイテクトSTINGSが25−18で第1セットを先取した。

 第2セットは、西田のスパイクで先制した。一度はアウトと宣告されるが、チャレンジによって覆ったものだ。郡、西田が奮闘し、立ち上がりのペースを握るかに思われた。しかし、サーブレシーブを崩されてから流れが一変。3連続失点が続いて、8−12と劣勢を強いられる。タイムアウトで落ち着きを取り戻した。福山の速攻でサイドアウトを切ると、郡のスパイクなどで徐々に盛り返した。
 中盤は、ブロック、スパイクで浅野が活躍。ペースをつかみかけたが、相手は試合巧者のパナソニック。隙を与えてくれない。18−22の場面では、袴谷、廣瀬を同時に投入して勝負に出る。しかし、反撃もここまで。福山、西田のスパイクでサイドアウトを切るが、最後はラリーを落として20−25でこのセットを失った。

 第3セットは西田がスタンドの視線を一身に浴びた。強烈なスパイクをたたき込み、ノータッチエースで加点。西田がサーブを打つたびに、スタンドからどよめきが起きる。スパイクでは軟打を織り交ぜて、パナソニックの守備を翻弄。序盤の得点のほとんどを西田の左腕が稼ぎ出した。
 相手の目をサイドに散らし、間隙を縫って秦、福山が速攻を決める。真ん中からの攻撃も機能。郡のバックアタックも炸裂した。15−18となったところで、ミドルブロッカーを秦から辰巳にスイッチ。我慢の時間が続いた。西田のスパイクが止められて17−21。2回目のタイムアウトを要求した。
 ここで西田にスイッチが入った。柔らかいボールを相手コートにポトリと落とす。18−21。西田にサーブが回ってきた。相手コートの中央を狙ったサーブがクビアクの腕を弾き飛ばした。今度はクビアクの逆を突いた。これで終わりではない。タイムアウト明けにも、相手コートにサーブを突き刺した。怒涛の3本連続サービスエース。さらにラリーに持ち込んで福山がブロック。22−21と逆転に成功した。
 郡、福山のスパイクでジェイテクトSTINGSがセットポイントを奪った。24−23。しかし、あと1点が遠い。ジュースに持ち込まれると、最後は西田のスパイクがアウト。25−27の僅差で第3セットを落とした。

 第4セットも、ジェイテクトSTINGSのペースで試合が進んだ。西田が2本連続でサービスエースを決めた。福山がスパイク、速攻で続いた。郡もバックアタックを決めて、8−6で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 さらに9−8から3連続得点。相手からミスを誘った。ジェイテクトSTINGSは落ち着いていた。福山、秦の速攻でサイドアウトを切って16−13。さらに西田のスパイクでブレイクポイントを奪う。1点差まで迫られたが、西田のスパイクは冴えていた。流れはジェイテクトSTINGSが握っていたと言っていい。
 勝負どころでミスが続いた。サービスエースを決められて、19−20と逆転を許す。タイムアウトでも嫌な流れは断ち切れなかった。西田、福山のスパイクで懸命に食らいついた。しかし、一度失った流れは取り戻せず、22−25で敗れた。

 内容は紙一重だった。勝つチャンスは十分にあった。しかし、パナソニックの試合運びが一枚上手だった。西田の言葉が、チームの現状を物語っている。
「チームとしては昨日よりもいいバレーができたけど、負け方が同じなので反省しなければいけません。ジュースまで持ち込むが、最後の1点が取れないのがうちの弱さ。自分もミスを出したし、リバウンドを取り切れなかった。しっかり修正したいと思います」
 今日の試合でV1リーグは中断。来週から天皇杯がスタートする。連敗での折り返しとなったが、チームのムードは悪くない。反攻のときは、間違いなく近づいている。

高橋慎治監督

V1リーグは年内最後となり、勝って締めくくりたいと思っていました。それができず悔しいです。昨日と同じように、第1セットはいい展開に持ち込んで、自分たちがやりたいバレーができました。しかし、第3、4セットの競り合った場面で相手に押され、1点が取り切れなかったことが悔やまれます。年明けのV1リーグに向けて立て直すことと、来週からはじまる天皇杯に向けて気持ちを切り替えたい。今日の試合のように、速攻とパイプ攻撃が機能すれば、パナソニックさんが相手でも接戦に持ち込めます。ブラトエフ選手が戦列に戻ってきても、しっかり勝っていけると思う。セッターの久保山選手もいい感覚がつかめたと思います。

久保山尚

今日は郡がスタートから入りましたが、うまくいっているときは、セットを取ったり、競り合うことができました。ただ、小さいミスを自分たちが出してしまい、点を取りたいときに取れなくて、逆に勝負どころでパナソニックさんに点を取られた。経験というか力負けだと思います。昨日は両サイドの決定率が伸びなかったので、今日はパイプ攻撃を使いつつ、決定率を上げていくことをメインにして、勝負どころは西田に頼ることを意識しました。1レグからここまで、自分がほとんどトスを上げているので、どこのチームもデータを取ってくると思う。後半戦は毎試合毎試合、相手によって攻撃の組み立てを考えていかなければいけないと思います。

郡浩也

会場が沸いて、その中でプレーができて楽しかったです。今日はブラトエフが体調不良ということで、「お前でいくぞ」というふうに信頼してもらえたことがうれしかった。1本目のスパイクを決めて、そこから勢いに乗ることができました。第3、4セットは、パナソニックさんの終盤の集中力がすごくて、ギアを1段も2段も上げてきた。コートの中で、そういうことを感じていました。そうなると、西田に頼ってしまうところがあるので、厳しい場面でトスを持ってきてもらえるような選手になりたいです。浅野さんと同じことはできないけど、攻撃力や高さでアピールして試合に出ます。そのためにも、練習が勝負だと思っています。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

終盤の勝負どころでいかに1点を取るか。勝ちパターンを構築していきたい

勝てる試合だった。明暗を分けたのはセット終盤の勝負どころだ。相手は西田にトスが集まると予測し、徹底してマークしてきた。さすがは何度も修羅場をくぐり抜けてきたパナソニックだ。少しでも弱気なところを見せると、そこから一気に畳み掛けてくる。その差はいったい何か。高橋監督が言う。「一つひとつのプレーの精度もあると思います。ブロックでコースを締めて、空いたところにちゃんとレシーバーが入っているのにボールが上がらない。あるいは、それほど強いサーブでもないのに、サーブレシーブが乱れることもあった。終盤は少しずつプレーの精度が落ちていたと思います」。とはいえ、第3セット終盤の西田のサーブは圧巻だった。相手に与えたインパクトは大きい。一つの勝ちパターンになったと言えるだろう。要所で秦、福山の速攻を使うなど、決定力も高かった。パイプ攻撃も機能している。技術の習得には時間がかかっても、気持ちの修正にはそれほど時間はかからない。いい部分を継続して、来週からはじまる天皇杯に臨みたい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ
第1セット 25 - 18
第2セット 20 - 25
第3セット 25 - 27
第4セット 22 - 25
第5セット
日付 2018年12月9日(日)
試合 V1リーグ レギュラーラウンド 第13戦
場所 パナソニックアリーナ
メンバー 福山、郡、西田、久保山、秦、浅野 L興梠
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