ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ

西田が立て続けにサービスエースを奪い第1セットを先取。代わって入った廣瀬、中根がリズムを変えるが終盤に競り負けた

 今週の2試合を終えると、来週から天皇杯がスタートする。年内最後のV1リーグは、上位陣との対戦だ。一つでも勝点を上積みして、レギュラーラウンドの後半戦につなげたい。
 今日は1レグで負けているサントリーサンバーズと対戦。218センチのムセルスキーを擁する強敵である。高橋監督は高さ対策として、新加入の秦をスタメンに抜擢。207センチの中国人ミドルブロッカーが、立ち上がりからチームを勢いづけた。

 セッター久保山のファーストチョイスはその秦だ。1本目は決まらなかったが、西田のスパイクで先制点を奪う。この日の西田は、コンスタントに高い決定力を発揮。気持ちのこもったスパイクを次々とたたき込み、確実にサイドアウトを切っていく。福山がサービスエースを決めてブレイク。さらに浅野、秦と続き、1回目のテクニカルタイムアウトを挟んでジェイテクトSTINGSが4連続得点を奪った。
 その後も西田が好調をキープ。サントリーのムセルスキーとの打ち合いを演じる。しかし、中盤に5連続失点。タイムアウトでも流れを取り戻せず、14−15と逆転を許した。西田、浅野が決めるが、悪い流れを断ち切れない。アウトになったかに思われた相手のサーブも、チャレンジによって判定が覆った。ここで高橋監督は2度目のタイムアウトを要求。しかし、西田のスパイクが止められて、16−20とリードを許す。ジェイテクトSTINGSが劣勢に立たされた。
 福山の速攻でサイドアウトを切った。ここでワンポイントブロッカーとして廣瀬を投入。サーブを打つのは西田だ。流れが、変わった。
 強烈なサーブで相手を崩すと、自らのバックアタックでブレイクポイント。ブラトエフのブロックで22−22と同点に追いつく。西田のサービスエースでついに逆転。それだけでは終わらない。相手のミスでジェイテクトSTINGSがセットポイントを奪うと、最後は西田が強気のサーブを相手コートに突き刺して25−22。逆転で第1セットを先取した。

 第2セットもジェイテクトSTINGSは同じ布陣でスタート。しかし、立ち上がりに1−5とリードを許す。サーブレシーブが乱れた。ブラトエフのスパイク、西田のサービスエースなどで立て直した。浅野もバックアタックで攻撃陣を援護射撃。久保山が巧みにトスを散らして、得点を重ねていく。
 しかし、主導権は依然としてサントリーが握っていた。リベロの興梠は高い数字を残したが、全体的にサーブレシーブが安定しない。10−16で2度目のテクニカルタイムアウトを迎えると、ここでセッターを久保山から中根にスイッチ。攻撃に変化を加える。15−25の大差でこのセットを落としたものの、選手たちの目から光は消えていなかった。

 第3セット、コートに戻った久保山は、西田にトスを集めた。粘り強く得点を重ねていく。しかし、5−5から5連続失点。浅野、西田のスパイクが立て続けに止められた。6−11で中根を投入。さらに8−13になったところで、福山に代えて廣瀬をコートに送り込んだ。秦がサービスエース。西田もブロックを決めた。3連続得点で10−13と3点差に迫る。しかし、その後は点差が縮まらない。12−16で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 拮抗した展開が続く。西田が難しい二段トスを決めてサイドアウトを切った。しかし、15−18から3連続失点。ここからは互いに1点ずつを取り合う展開。西田が孤軍奮闘するも、ジェイテクトSTINGSは19−25で第3セットも失った。

 第4セットも我慢の展開が続く。ミドルブロッカーは廣瀬がスタートから入った。その廣瀬が速攻を決める。さらに廣瀬がサービスエースを決めて7−6と逆転。浅野が止められて1点のビハインドで1回目のテクニカルタイムを迎えたものの、互角以上の内容と言っていい。
 秦が立て続けに速攻を決めた。西田も高い打点から強烈なスパイクをたたき込んだ。要所でブラトエフが吠える。僅差をキープしたまま、サントリーを追随した。2点のビハインドで2回目のテクニカルタイムアウト。ブラトエフのバックアタックが決まった。西田もスパイクを決め、16−16の同点に追いついた。
 後半は一進一退。廣瀬が速攻を決めて19−20とする。ネット際に立ちはだかった廣瀬がブロック。再び同点に追いついた。さらにブラトエフのサービスエースが決まった。ジェイテクトSTINGSが逆転に成功した。サントリーはここでタイムアウトを要求。ジェイテクトSTINGSも、郡、松原を投入して勝負に出る。
 一度は相手にマッチポイントを許したが、秦の速攻で23−24とすると、西田のスパイクが決まって土壇場で同点に追いつく。ジュースに持ち込んだが、最後は25−27。セットカウント1−3で敗れた。

 内容は悪くなかった。代わって入った選手が、自分の役割に徹した。何より秦の活躍は、チームにとって明るい材料だ。高橋監督は言う。
「今日の試合は、秦選手もいいデータを残してくれた。うれしい悩みというか、今のジェイテクトSTINGSはミドルブロッカー陣が熱い。高いレベルで競争し、チーム全体を底上げしてほしい」
 明日は強敵のパナソニックと対戦する。完全アウェイだ。タフな戦いになるが、今のジェイテクトSTINGSに立ち止まっている時間はない。勝利を目指して、前へ進むだけである。

高橋慎治監督

取れたセットと取れなかったセットの内容に差がありました。少しのズレだけど、フォローのシステムができていなかったり、コンビが合わなくていつもなら決まるケースが決まらなかった。そうした少しのズレがいくつかあり、負けセットにつながったと思います。勝ちセットについては、すごくいいバレーが展開できていたし、負けはしたけど第4セットも内容はよかった。秦選手や代わりに入った廣瀬選手、郡選手も頑張ってくれた。そういった意味でも、価値のある試合になったと思います。

中根聡太

サントリーさんはまだ1敗しかしていないということで、実力の差はあるなと感じました。相手の高いブロックや攻撃的なサーブに苦戦しました。ただ、互角に戦える相手であるということは、試合を見てくださった方にもわかってもらえたと思います。いかに後半の1点、勝負どころの1点を取っていくかが大事です。真ん中を生かしていくのが僕の持ち味で、自分が入ることで攻撃のリズムを変えられたらと思っていました。「中根が入ったら雰囲気が変わる」と言われるように頑張ります。

秦臻

練習してきた成果をうまく出すことができました。波はあったけど、試合の内容はすごくよかった。力を出し切ったので、悔いはありません。Vリーグは力の差が拮抗しており、コンビネーションがもっとよくなれば自分もチームに貢献できると思います。スパイク、ブロック、サーブなど日々の練習で技術を磨き、できる限りの力を尽くしたい。ジェイテクトSTINGSは雰囲気がすごくよくて、選手はみんな真面目に練習に取り組んでいます。将来性があるチームだと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

秦の起用は起爆剤になるか。ここから一気に加速したい

ついにベールを脱いだ。ミドルブロッカーの秦だ。Vリーグで初めてスタメン出場を果たし、12本のスパイクを決めて66.7パーセントの高い数字を残した。ブロックポイントこそなかったが、高さで相手に圧力をかけた。サービスエースも奪っている。「すべてにおいて活躍してくれました。スパイクには高さがあり、個別練習にも積極的に取り組んでくれています。今日はその成果が出ました。移動も速く、ブロックの形もいい。これから先も期待できると考えています」。高橋監督も高く評価している。持ち味は何と言っても、高さのあるブロックだ。サントリーのムセルスキーを封じ込めることはできなかったが、相手に嫌な印象を与えたのは間違いない。天皇杯の前に実戦デビューできたのも好材料と言えるだろう。初のタイトルに向けて、ここから一気に加速していきたい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ
第1セット 25 - 22
第2セット 15 - 25
第3セット 19 - 25
第4セット 25 - 27
第5セット
日付 2018年12月8日(土)
試合 V1リーグ レギュラーラウンド 第12戦
場所 パナソニックアリーナ
メンバー 福山、ブラトエフ、西田、久保山、秦、浅野 L興梠
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