ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ

キャプテンの浅野が攻守にわたって活躍。ブラトエフ、西田もトップフォームを取り戻し、セッター久保山を軸に多彩な攻撃を展開する

 見違えるような輝きを放った。東レアローズに3−1で圧巻の勝利。ホームのとくぎんトモニアリーナ(徳島市立体育館)まで足を運んでくれた人たちに、勝利の喜びを届けることができた。前日の敗戦を払拭する会心の試合運びで、勝点3を獲得した。

 福山のサーブで幕を開けた第1セット、ジェイテクトSTINGSが立ち上がりから走った。気を吐いたのがキャプテンの浅野だ。高い打点から強烈なスパイクをたたき込む。久保山もサーブで相手の守備を揺さぶった。スタメンに入った金丸が速攻を決めると、西田が軟打で相手のブロックをかいくぐる。8−6でジェイテクトSTINGSがリード。会心のスタートだった。
 さらに浅野のバックアタックが炸裂する。ブラトエフがブロックで加点。ネット際でプレッシャーをかけ、相手からミスを誘って4連続得点を奪う。福山の速攻も決まって16−13で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 ブラトエフをはじめサイド陣が冴えていた。サービスエースを奪われて一時は18−18の同点に追いつかれるが、ジェイテクトSTINGSは慌てない。金丸の速攻、ブラトエフのバックアタックですぐに突き放す。ブラトエフが難しいボールを決めて23点目。袴谷を投入して、前衛に高さを生み出した。西田のバックアタックでセットポイント。最後は西田のサーブが相手のミスを誘い、25−21でジェイテクトSTINGSが第1セットを先取した。

 続く第2セットはジェイテクトSTINGSが追いかける展開。2点を先行するが、ミスもあって逆転を許し、2点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎える。浅野が気持ちのこもったプレーでチームを引っ張るが、なかなか連続得点が奪えない。浅野のスパイクが止められて14−19となったところで高橋監督はタイムアウトを要求。ここでセッターを久保山から中根にスイッチするなど、攻撃に変化を生み出した。
 金丸の速攻などでサイドアウトを切ると、終盤は袴谷と秦がコートイン。その秦が速攻を決めて存在感を示した。19−25でこのセットを落とすものの、次につながる戦いができたと言っていい。

 第3セットは再びジェイテクトSTINGSがペースを握った。口火を切ったのが西田だ。ブラトエフ、浅野も続いた。浅野のバックアタックやブラトエフのブロックなどで、テクニカルタイムアウトを挟んで4連続得点。11−6とリードを広げる。
 この日のジェイテクトSTINGSは集中力が途切れない。チャンスを確実にものにして、西田のスパイク、ブラトエフのブロックでブレイクポイントを奪う。2回目のテクニカルタイムアウトを16−10。そこから4連続失点を喫したものの、主導権は依然としてジェイテクトSTINGSが握っていた。
 浅野のスパイクでサイドアウトを切って17−14。久保山のサービスエースでチームの勢いが加速する。サイド陣の決定率が上がれば、あとは落ち着いて試合を進めるだけだ。ブラトエフのスパイクで23点目を奪うと、最後は相手のサーブミスが続いてジェイテクトSTINGSがこのセットを25−21で奪った。

 ジェイテクトSTINGSが勝利に王手をかけた。体育館のムードは最高潮に達していた。第4セットは西田のスパイクで先制。ブロックの注意をサイドに引き寄せて、空いた中央から福山が速攻をたたき込む。セッターの久保山がバランスよくトスを配給し、着実に得点を重ねていった。
 3点の差は、この日のジェイテクトSTINGSにとってそれほど大きなビハインドにはならない。ブラトエフのスパイクでサイドアウトを切ると、金丸のサービスエースでブレイク。圧巻は西田のサーブだ。9−10でサーブが回ってくると、3本連続でサービスエース。体育館をどよめきが包んだ。
 福山、金丸のミドル陣が立て続けに決めた。16−14。さらにブラトエフがブロックでブレイクポイントを奪う。19−18の場面では、久保山がアンダーで上げたトスを、ブラトエフが3枚ついたブロックにうまく当ててボールを弾き出す。パワーだけでなく、技ありのスパイクで見る者を魅了した。
 ジェイテクトSTINGSは落ち着いた試合運びを見せた。袴谷、松原、秦をワンポイントでコートに送り込んで攻勢をかける。ブラトエフが決めてマッチポイント。最後もやはりブラトエフだ。レフトから強打をたたき込んで、25−23で試合を締めくくった。

 勝点3を手にし、体育館は安堵感に包まれた。殊勲の西田が言う。
「相手に流れを持っていかれそうな場面はあったけど、全員が一つひとつのプレーに対して全力で取り組みました。踏ん張りどころで踏ん張れたのが今日の勝因だと思います。個人的にも、今日はチームに助けられたし、昨日よりも冷静にプレーすることができた。いい試合ができました」
 来週はサントリー、パナソニックと2レグの山場を迎える。しかし、今日のジェイテクトSTINGSのバレーなら、相手がどこでも恐れることはない。流れを継続して勝利をつかみ、天皇杯につなげたいところだ。

高橋慎治監督

昨日は大分三好さんに敗れましたが、選手たちは一晩で気持ちを修正して今日の試合に臨んでくれました。その取り組みが、今日の試合で出し切れたと思います。気持ちの部分で相手を上回り、終始リードする展開が作れました。昨日は簡単に相手に点数を与える場面もありましたが、今日は一つひとつのプレーの精度が高く、目の前の1本に集中してくれた。今日のように気持ちを前面に出して戦えば、相手が(来週対戦する)パナソニックさんでもサントリーさんでも歯が立たないわけではありません。いい試合ができると思うので、1週間でしっかり準備して臨みたいと思います。

浅野博亮

チームでミーティングをしたわけではありませんが、選手一人ひとりに「何としてでもホームで勝たなければいけない」という思いがありました。プレーというよりは、気持ちが変わったことが結果につながったと思います。いい試合ができました。個人的には、昨日のデータを見て、スパイクの数字がよくないことはわかっていました。ただ、自分の感覚は悪くない。相手もすごく粘りを見せていました。その点では、昨日の試合に負けたからといって落ち込むこともなく、ホームで絶対に勝つという気持ちを持って臨むことができたと思います。あとは、西田選手とメールをして、お互いのモチベーションを高めて臨みました(笑)。

ブラトエフ・ヴァレンティン

強いチームに勝てたことはうれしいです。すべての面でチームに貢献したいと思っていますが、特にサーブレシーブやディグがうまく上がらない時は、その分、攻撃に専念してチームを引っ張っていきたいですね。ただ、今日の試合で貢献できたのは、最後の1点くらいです(笑)。レセプションはよくなかったし、興梠選手や浅野選手がカバーしてくれた。西田選手のサーブもよく入っていました。よかったところをあげるとすれば、ブロックが4本決まったことくらい。でも、重要なのはチームが勝つことです。たとえ自分が一人で40点を取っても、チームが負けたら意味がない。チームが勝つことを重視して、これからも頑張っていきます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

体育館は白、白、白…。応援の力がチームの背中を押した

公式記録によると観客数は1623人。実感としては、もっと入っているように感じた。どこを見ても、ジェイテクトカラーの白、白、白…。大きな声援がチームの背中を押した。キャプテンの浅野が言う。「昨日、あのような試合をしてしまったにも関わらず、今日は徳島の人たちが会場を埋め尽くすほど足を運んでくださいました。中には『初めて来ました』という声も聞かれて、すごくありがたかったです。子どもたちの声援もすごくチームを乗せてくれました。応援が力になるということは、ジェイテクトSTINGSの選手はみんなわかっています。今日の試合に勝てたのは、応援の力です」。リップサービスではない。心から出た言葉だろう。ジェイテクトSTINGSはこれまでも、応援の力で何度も白星を重ねてきた。昨日の敗戦は確かにショックだったが、一晩で気持ちを切り替えた。持っている力を最大限に発揮したジェイテクトSTINGSは、間違いなく強い。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ
第1セット 25 - 21
第2セット 19 - 25
第3セット 25 - 21
第4セット 25 - 23
第5セット
日付 2018年12月2日(日)
試合 V1リーグ レギュラーラウンド 第11戦
場所 とくぎんトモニアリーナ(徳島市立体育館)
メンバー 金丸、福山、ブラトエフ、西田、久保山、浅野 L興梠
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