ジェイテクトSTINGS VS VC長野トライデンツ

立ち上がりこそ硬さが見られたが、ミドルブロッカー陣を軸にリズムを取り戻す。終盤は調子を取り戻した西田がチームを引っ張った

 先週の豊田合成戦は、会心の戦いぶりで勝点3を奪取した。勢いを継続したいのは、チーム全員に共通する思いだ。今日の相手はVC長野トライデンツ。トップリーグは初めての参戦だが、決して侮れない相手だ。しかも、アウェイである。高橋監督はスタートのメンバーを少し入れ替えてきた。浅野に代えて柳澤を、金丸に代えて廣瀬を投入。フレッシュな布陣で試合がはじまった。

 立ち上がりはやや硬さが見られた。先行したのはジェイテクトSTINGSだ。廣瀬の速攻でサイドアウトを切る。アウトになったかに思われた西田のスパイクも、チャレンジによってインと判定された。さらに西田がサーブで攻めて、福山が加点。ブラトエフのブロックも飛び出し、4連続得点を奪う。しかし、柳澤のスパイクが相手のブロックに止められると6−6の同点。ブラトエフがバックアタックを決めて1点のリードでテクニカルタイムアウトを迎えたものの、内容は紙一重だった。
 この日は廣瀬、福山のミドルブロッカー陣が絶好調。セッターの久保山も絶妙のタイミングで速攻を使い、着実に得点を積み重ねていく。一進一退の展開から、西田のスパイク、柳澤のブロックなどで3連続得点。16−13と突き放した。
 ややミスが出て同点に追いつかれるが、ジェイテクトSTINGSは慌てない。18−17の場面で柳澤が値千金のサービスエース。さらに西田がブロックを決めて20−17とする。ここでVC長野が1回目のタイムアウトを要求した。
 ジェイテクトSTINGSは浅野、松原を投入して、このセットを一気に奪いにいく。福山の速攻でサイドアウトを切ると、ブラトエフが決めてブレイク。最後はトスを託された西田がその期待に応え、ジェイテクトSTINGSが25−21で第1セットを先取した。

 第2セットはジェイテクトSTINGSが廣瀬のサービスエースで先制した。柳澤も緩急をつけたスパイクでチャンスを確実にものにする。西田、廣瀬が決めて、8−5で1回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 要所でブラトエフがスパイクをたたき込んだ。スパイクミスが続いて1点差に迫られるが、福山の速攻で嫌な流れを断ち切った。ブラトエフのバックアタックも機能。ジェイテクトSTINGSが16−13とリードを広げた。
 この日はサーブレシーブが安定していた。成功率は、ブラトエフが75.0パーセント。リベロの興梠は80.0パーセントをたたき出した。柳澤も落ち着いてボールをさばいた。
 西田が確実にサイドアウトを切っていくと、途中から入った浅野も躍動した。ブラトエフのサービスエースで20−17。ここから互いに1点ずつを取り合う展開が続く。24−21とジェイテクトSTINGSがセットポイント。廣瀬のサーブが相手の守備を崩すと、最後は西田がブロックを決めて、25−21でジェイテクトSTINGSがセットを連取した。

 第3セット、相手のサーブが柳澤に集中した。しかし、興梠のカバーもあり、冷静に対応する。西田、ブラトエフのスパイクで着実に加点。一時は4連続失点を喫したが、すぐに流れを引き戻し7−8で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 西田も徐々にトップフォームを取り戻す。渾身のスパイクをインナーに打ち込んで12−11。さらに西田がバックライトから決めてラリーを制する。VC長野はここでタイムアウトを要求。ジェイテクトSTINGSは14−12になったところで、前衛に浅野を投入して勝負に出た。
 ホームのVC長野も諦めない。ジェイテクトSTINGSが1点のビハインドで2回目のテクニカルタイムアウトを迎える。廣瀬がネット際のボールを押し込んで16−16。18−18でリリーフサーバーの松原が入ると、ラリーに持ち込んで福山がブロックを決める。ジェイテクトSTINGSがついに1点を先行。西田のスパイクでサイドアウトを切ると、ブラトエフが相手のスパイクをシャットアウトした。
 ここからは、ブラトエフの独壇場だ。22−20でサーブが回ってくると、前にボールを落としてエースを獲得。1点差に追い上げられると、ジェイテクトSTINGSはこの試合初めてのタイムアウトを取る。ブラトエフのバックアタックでマッチポイント。最後は浅野がストレートにたたき込んでフィニッシュ。25−23でこのセットを奪い、ストレート勝ちを決めた。

 先週に続いて連勝を飾った。相手のホームゲームでプレッシャーがかかる中、苦しみながらもしっかりと勝ち切った。地元での試合を終えた浅野が言う。
「たくさんの方が応援に来てくれた中、フルで出場することはできなかったけど、要所で活躍するところは見せられたと思います。自分たちは、小中学生や高校生に夢を見せないといけない立場です。今日はいいプレーを見せられてよかったと思います」
 順位でも3位に浮上した。明日は1レグの最終戦である。しっかりと勝ち切り、徳島で開催される翌週のホームゲームにつなげたい。

高橋慎治監督

今日はVC長野のホームゲームということで、体育館中が盛り上がり、自分たちもその雰囲気にのまれてしまいました。相手の勢いに押される展開になってしまった。その中でも、選手たちが持ちこたえ、3−0で勝てたことは価値があると思います。セッターの久保山選手が廣瀬選手と福山選手の速攻が効果的だということで、しっかりと準備してくれました。トスの配分もよかったし、ミドルブロッカーの2人もその期待に応えてしっかり決めてくれました。ただ、全体的にはいつもよりミスが多かったので、そこは修正して明日の試合に臨みたいと思います。

廣瀬優希

先週は試合に出られなかったけど、チームは豊田合成を相手にいい形で勝つことができました。今日は、(柳澤)広平もスタートから入り、絶対に負けられないと思っていた。先週以上に気合を入れました。ブロックに関しては、(VC長野への)対策がしっかりできていたと思います。ただ、個人的にはまだまだ。止められるボールがもっとあったと思います。速攻に関しては、相手のブロックがしっかり見えていました。久保山選手ともしっかりしゃべって、相手のブロックが来ていない時に上げてもらうことができた。明日も、チームとして勝ちにいきます。

柳澤広平

今日は地元開催ということで緊張もありました。出だしのスパイクが相手にブロックされてしまい、そこから自分の歯車が崩れたところがあります。ただ、レセプションに関してはいいパスを配球できました。でも、僕に求められているのは攻撃面です。そこで決めきれなかったことはかなり悔しいですね。松本市は僕にとって生まれ故郷ですが、今日はその地元から小さい子どもがたくさん観戦に来てくれました。迫力のあるバレーボールを体感してもらえたと思います。今の子どもたちには、この舞台を目指して頑張ってほしい。そう思ってもらえる試合ができたと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

ミドルブロッカーの活躍で快勝。チーム内の競争と層の厚さが好調の要因だ

ミドルブロッカーが機能した試合だった。特に廣瀬は、アタック決定率が90.0パーセント。ブロックでもチームの守備を支え、サービスエースも1本奪っている。廣瀬が裏話を教えてくれた。「今日の目標として、『スパイクミス0』と『サービスエース1本』を金丸さんと約束していました。サービスエースを1本は取りたいと思っていたのでよかったです」。今シーズン、福山の対角は、金丸と廣瀬が入れ替わりでメンバー入りしている。それが、チームの相乗効果を生んでいるのだろう。「出られることなら全試合に出たい。もちろん練習でもアピールしています。こういう試合で少しでも金丸さんにプレッシャーをかけられるようになれば、チームとしてもっと強くなっていくと思います」。選手層の厚さが好調の要因だと話す廣瀬。その口ぶりから、大きな自信を感じさせる。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS VC長野トライデンツ
第1セット 25 - 21
第2セット 25 - 21
第3セット 25 - 23
第4セット
第5セット
日付 2018年11月24日(土)
試合 V1リーグ レギュラーラウンド 第8戦
場所 松本市総合体育館
メンバー 福山、ブラトエフ、柳澤、西田、久保山、廣瀬 L興梠
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