ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ

西田が復活! ブラトエフのサーブが走って第1セットを奪う。逆転で敗れたが、ホームアリーナの観衆を魅了した

 チームは生まれ変わった。目の色が、表情が変わった。何もできずにストレートで負けたJT戦から一夜明け、ジェイテクトSTINGSが見違えるようなバレーを展開した。

 先頭を切って走ったのが西田だ。トップフォームを取り戻し、思い切りのいいスパイクを次々とたたき込んだ。何より、全身から気迫が満ちあふれていた。
 ブロックも機能し、相手の攻撃をうまく切り返してブラトエフがバックアタックをたたき込む。スタメンに入った金丸の速攻も立て続けに決まった。6−7から3連続得点。さらに西田の強烈なサービスエースで、12−9と引き離した。
 圧巻は福山の速攻でサイドアウトを切って13−11としてからだ。ブラトエフにサーブが回ってきた。ここでノータッチエースを含めて3本連続のサービスエース。17−11とジェイテクトSTINGSが完全に主導権を握った。
 ベンチワークも功を奏した。一時は19−19の同点に追いつかれるが、ここで浅野から袴谷にスイッチ。前衛に高さが増し、ブラトエフのバックアタック、金丸のブロックなどで3連続得点を奪う。
 しかし、バレーボールにセーフティリードはない。23−22の場面。西田のスパイクはアウトになったかに思われた。チャレンジによってブロックタッチが認められ、ジェイテクトSTINGSの得点に替わる。これで、ようやくセットポイント。一時は24−24とされるが、タイムアウトで嫌な流れを断ち切った。福山が決めて25−24。ブラトエフが豪快にサービスエースを決めて、ジェイテクトSTINGSが26−24で第1セットを先取した。

 続く第2セットもジェイテクトSTINGSが走った。序盤にミスが重なったが、今のチームに焦りはない。西田が軟打を織り交ぜながら得点を重ね、ブラトエフも高い打点から強烈なスパイクをたたき込む。浅野のスパイクでラリーを制した。西田が決めて、8−6で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 しかし、ここからサントリーサンバーズに押し込まれ、我慢の展開が続く。西田のスパイクはアウト、浅野のスパイクは相手のブロックに止められた。この日のジェイテクトSTINGSは、コートに立った全員が躍動した。ブラトエフ、福山がサイドアウトを切った。西田のバックアタックでブレイクポイント。2点のビハインドで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えたが、ジェイテクトSTINGSの追い上げムードは高まっていた。
 中盤は西田にトスが集まった。これを確実に決めていく。リリーフサーバーの松原がコートに入ったが、22−24とセットポイントを奪われた。しかし、ここからジェイテクトSTINGSが本領を発揮。金丸の速攻などで24−24の同点に追いついたのだ。
 ブラトエフのバックアタックも機能。最後は25−27でこのセットを落としたが、スタンドの大声援を受けてチームの勢いも増していた。

 しかし、第3セットは一方的な展開に持ち込まれる。立ち上がりからリードを許し、3−8で1回目のテクニカルタイムアウト。それでも西田は果敢にトスを呼び込み、強烈なスパイクをたたき続けた。8−13となったところで、セッターを久保山から渡邉にスイッチ。さらに清野をリリーフサーバーで送り込む。
 サントリーの勢いが上回り、11−17から5連続失点。西田のスパイクなどで反撃したが、15−25の大差でこのセットを失った。

 気持ちを切り替えて第4セットに臨んだ。ブラトエフのサーブが火を吹いた。5−6。逆転のチャンスは十分にあった。浅野は試合の流れを変えるスパイクを要所で決めた。派手さはないが、攻守でチームを支えた。バックアタックも決めた。10−11と粘り強く食らいついていった。
 しかし、コンビネーションに乱れが生じて3連続失点。ここで再び久保山がコートに入る。西田の2本のサービスエースを含めて4連続得点。ブラトエフも好調を維持し、14−14の同点に追いついた。
 さらに金丸のブロック、浅野のスパイクで3連続得点を奪い、18−16と逆転に成功する。終盤の底力で、ジェイテクトSTINGSに一体感が生まれた。スタンドの歓声も味方につけた。西田のスパイクなどで21−19とリード。しかし、21−21とされると、大事なところでミスが出て22−23。ブラトエフのスパイクで一矢報いるが、最後は連続失点を喫し23−25で敗れた。

 公式記録によると観客数は2100人。昨日より少し減ったが、ほとんどの人がその試合内容に満足したのではないだろうか。敗れはしたが、可能性の高さを感じさせる一戦だった。
「チームとしては、1日で切り替えてプレーできました。特に、昨日の試合にも出た選手が切り替えてできたことは、チームとして成長した部分だと思う。個人としては、なかなかチームにいい影響を与えられなかったことが悔しいです。ただ、ここからやっと、チームが動き出したという感じもする。もっと成長して、来週のホームゲームに照準を合わせてやっていきたいと思います」
 試合後、浅野はこう振り返った。“やっとチームが動き出した”という言葉に、キャプテンとしての葛藤が見て取れる。新たな出発だ。チームのベクトルを再び一つに合わせ、前へ進んでいきたい。

高橋慎治監督

ホームゲームの2日間、たくさんの方に応援していただきましたが、勝利を挙げることができず悔しい思いでいっぱいです。その中でも、今日は選手が自分のプレーを発揮してくれて、いい部分も見られました。特に西田選手は素晴らしいプレーを見せてくれました。18歳という年齢でチームを背負い、プレッシャーも感じていたと思います。今日は別人のようにのびのびとプレーしてくれました。チームとしても、いいところは今後につなげ、悪い部分を突き詰めていきたい。けっして差は小さくないけど、今日のような展開になったら今度こそ勝てるように、しっかり乗り越えていきたいと思います。

興梠亮

昨日は一本一本の精度がうまくいかず、不甲斐ない試合になってしまいました。その敗戦を受け止め、今日は気持ちの面で勝ちにいこうと話していました。その姿勢は出ていたので、負けはしたけどプラスに考えて、来週の豊田合成戦に向かっていきたいと思います。ムセルスキー選手の対策は立てていましたが、あの身長(218cm)なのでなかなか止められません。他の日本人選手を止めたら勝機があると思い、そこを重点的に考えていました。できていない部分は全員で指摘し合って、少しずつ修正していくことが重要です。いいプレーも出てきているので、次は勝利につなげたいと思います。

西田有志

今日の試合展開は昨日ほど悪くなかったと思います。ムセルスキー選手のスパイクをあと2、3本上げていたら、違った試合展開になっていたでしょう。結果論ですけどそう思います。個人的にはやっと一皮向けたという感じで調子も上がってきました。気持ちもリフレッシュでき、課題をしっかり乗り越えて、いいコンディションで戦えたことは自信になりました。相手のコートもよく見えていたし、冷静にスパイクが打てました。相手のディフェンスが下がったところでフェイントも機能しました。最後は自分の弱さが出てしまいましたが、それまではしっかりやれていたと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

西田の復調はチームにとって好材料だ。ここからジェイテクトSTINGSの反撃が始まる

見違えるような戦いぶりだった。西田である。昨日のJT戦は打数が7。第3セットはコートに立てなかった。それが今日のサントリー戦では、打数が46本に増えている。セット数の違いこそあれ、決定率も42.9%から56.5%までジャンプアップ。1日で何が変わったのか。「一つは、スタッフが気にかけてくださったこと。今まで悩んでいた部分を話すことができて、気持ちをリフレッシュできました。自分にプレッシャーをかけて追い込んでいたところがあるので、『自分は何を求められているのか』ではなく『その時の自分に何ができるか』に考え方を変えました。そこが昨日と今日の違いだと思います」。迷いを払拭したその表情はすっきりしていた。西田の活躍に導かれるように、チームの勢いも増した。今日は惜しくも敗れてしまったが、ジェイテクトSTINGSの反撃はこれからだ。頂点を狙うチャンスは十分に残されている。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ
第1セット 26 - 24
第2セット 25 - 27
第3セット 15 - 25
第4セット 23 - 25
第5セット
日付 2018年11月11日(日)
試合 V1リーグ レギュラーラウンド 第6戦
場所 刈谷市総合運動公園体育館(ウィングアリーナ刈谷)
メンバー 金丸、福山、ブラトエフ、西田、久保山、浅野 L興梠
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