ジェイテクトSTINGS VS 大分三好ヴァイセアドラー

相手の勢いに押されて第1セットを失う。金丸の投入でブロックが機能し、徐々に本来の粘り強さを発揮。終盤に入って、西田も本来の爆発力を取り戻した

 タフな戦いになった。V.LEAGUE第4戦の大分三好ヴァイセアドラー戦。23−25で失セットからのスタートとなったのだ。
 立ち上がりはサイドアウトの応酬だった。攻撃では、セッターの久保山が巧みにトスを散らした。ブラトエフ、廣瀬、柳澤が決めて着実にサイドアウトを切った。相手のミスにも助けられた。しかし、ブレイクポイントが奪えない。1点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを奪ったものの、しかし、コート内の雰囲気は大分三好に傾いていた。実際、ミスが重なって9−9から3連続失点。9−12となったところで、高橋監督は1回目のタイムアウトを要求する。
 西田のスパイクなどで1点ずつ取り返すが、ペースをつかめないまま試合が進んでいった。守備が悪かったわけではない。大分三好の勢いも凄まじかった。久保山のサービスエースでブレイクポイントを奪うが、大分三好はすかさずタイムアウトを取って流れを取り戻しにかかる。
 終盤も点の取り合い。アウトになったかに思われた西田のスパイクは、チャレンジによって得点が認められた。相手のセットポイントをブラトエフのスパイクでしのいだ。粘り強いプレーでラリーを制して23−24。しかし、反撃及ばず、このセットを落とした。

 第2セットも苦しいスタートだった。西田、ブラトエフのスパイクが立て続けに止められる。それでもセッターの久保山は西田にトスを集めた。18歳の若武者が懸命なプレーで期待に応える。1点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを奪うと、柳澤のサーブも機能した。ブラトエフの硬軟織り交ぜたスパイクなどで4連続得点。12−8とリードを広げた。
 その後もジェイテクトSTINGSがペースをつかむ。ベンチも動いた。13−9の場面で、ミドルブロッカーを廣瀬から金丸にスイッチ。ブロックでリズムをつかむと、ブラトエフのバックアタックなどで着実に得点を重ねていく。
 一時は18−18と同点に追いつかれたが、浅野を投入して安定感を確保。金丸のブロック、ブラトエフのスパイクなどで22−19と再びリードを広げる。金丸のブロックでセットポイント。ブラトエフのサーブがネットインとなり、25−20でこのセットを奪ったジェイテクトSTINGSがセットカウントを1−1のタイに戻した。

 第3セットも互いに1点ずつを取り合う展開。奮起したのがブラトエフだ。ライト、バックとあらゆる位置から攻撃を仕掛け、次々と得点を奪っていく。福山も速攻で援護射撃。ブラトエフのスパイク、西田のブロックなどで3連続得点を奪い、11−9と逆転に成功した。
 守備ではリベロの興梠が立ちはだかった。ブロックとの連携も機能し、抜群の安定感を発揮。16−15で2回目のテクニカルタイムアウトを取ると、福山のブロックで17−15とリードを広げる。
 終盤に入ってもジェイテクトSTINGSの集中力は途切れない。金丸のブロックなど3連続得点で21−17。完全に試合の主導権を握った。ブラトエフがフェイントで相手の守備に揺さぶりをかける。西田が決めて23−19となったところで、リリーフサーバーの松原を投入。その松原がサービスエースを決めてセットポイント。最後は西田のブロックで25−19とし、このセットを締めくくった。

 第4セットに入って、西田がようやく本来の調子を取り戻す。高い打点からスパイクをたたき込んで先制点を奪うと、チームの勢いも加速。久保山がワンハンドで上げたトスを金丸が決めて5−3。柳澤のフェイントなどで確実にサイドアウトを切っていく。福山のブロックで8−5。柳澤のサービスエースも飛び出し、ジェイテクトSTINGSが勢いをつかんだ。
 中盤は一進一退。セッターの久保山がトスを散らし、西田のスパイクやブラトエフのバックアタックで加点していく。要所で使う福山の速攻も高い決定率を残した。あとは落ち着いて試合を進めていくだけだった。
 終盤はジェイテクトSTINGSが一気に攻め込んだ。ブラトエフがスパイク、ブロックで活躍。19−13の場面で西田に代えて袴谷を投入する。その袴谷が決めて21−13。これで試合の趨勢は決した。ブラトエフの二段トスを袴谷がうまく決めてマッチポイント。最後は柳澤のブロックでフィニッシュ。このセットを25−15と圧倒したジェイテクトSTINGSがセットカウント3−1で逆転勝ちした。

 苦しい展開だったが、ベテランの金丸が流れを変えた。落ち着きを取り戻したチームは、徐々に一枚岩になっていった。高橋監督は言う。
「大分三好からは、『絶対に勝ってやる』という気持ちが見られました。一本一本のスパイクから気迫が伝わってきた。そのスパイクに対応し切れなかった部分もある。瞬時に対応できるように修正していきたいと思います」
 来週はいよいよ刈谷で行われる今シーズン初のホームゲームである。強敵との対戦が続くが、絶対に負けるわけにはいかない。勝つことがV.LEAGUEを盛り上げる最善策であることを、チームの誰もが知っているからだ。

高橋慎治監督

スタートから自分たちのバレーができず、ペースがつかめないまま試合が進んでしまいました。非常に苦しい戦いになりましたが、選手たちが試合の中で修正し、自分たちのバレーを展開してくれたことがこの結果につながったと思います。相手のスパイカーに対応し切れていなかったので金丸選手を投入しました。ミドルブロッカーの中では大黒柱で、ベテランの力に頼る形になってしまいました。来週末に向けてしっかりと練習し、また一つ上のレベルに行けるように取り組んでいきたい。来週は今シーズン初のホームゲームで、気負ってしまう部分もあると思います。ホームのムードを盛り上げるためにも、勝ちにこだわって戦っていきます。

金丸晃大

第1セットからチームの雰囲気がよくないことは、外から見てわかっていました。そこを盛り上げることと、僕の持ち味であるブロックでポイントが取れたら雰囲気が作れると思っていました。たまたまブロックが出たのでよかったです。サーバーが相手を崩したことが一つ。さらにサイド陣のポジションがいいので、僕はそこに詰めているだけ。あとはしっかり手を出せば、ボールが当たってブロックになる形を作っています。昨日のパナソニック戦も勝てた試合だと思っています。今日は勝ったけどあまりいいバレーではなかった。来週のホームゲームで対戦する相手も強敵なので、悪かったところを修正して臨みたいと思います。

柳澤広平

昨日は大事なところで、相手のサーブを3本も返せませんでした。そこで点差が開いた。そういうプレーがあると、競った試合では勝ち切れません。今日は競った場面でもレセプションをしっかり返すことができました。ただ、第1セットはサーブレシーブが短くなってミドルブロッカーが速攻に入りづらくなったところから相手に先行されました。そこの精度をもう1ランク上げていきたいと思います。今は同じポジションの郡がケガをしていますが、浅野さんが出たら絶対に仕事をするし、ムードも持ってくる。松原さんも、練習ではスパイクを決めたり、サーブレシーブも返しています。自分もどんどんアピールしていきます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

相手の勢いを受けてしまった第1セット。最初の8点を全力で取りに行きたい

第1セットの入り方がよくなかった。8−7で1回目のテクニカルタイムアウトを奪ったが、相手のミスに助けられた部分もある。攻撃の組み立てが悪かったとは思わない。セッターの久保山はサイドにトスを散らし、なおかつ要所でミドルブロッカーの速攻も使っていた。リベロの興梠を軸に守備も安定している。スタートから走れなかった要因は、気持ちの部分が大きい。「落とした第1セットは、大分三好に勢いがあり、なおかつ自分たちがそれを受けてしまった。それが相手に流れを渡してしまった原因。第2セットから見せたアグレッシブなプレーを、スタートからやらなければいけなかった」。高橋監督はこう振り返っている。改めて、レギュラーラウンドに楽な試合などないことを思い知らされた一戦だった。大事な最初の8点を、全力で取りに行くことが重要だ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 大分三好ヴァイセアドラー
第1セット 23 - 25
第2セット 25 - 20
第3セット 25 - 19
第4セット 25 - 15
第5セット
日付 2018年11月4日(日)
試合 V1リーグ レギュラーラウンド 第4戦
場所 福井県営体育館
メンバー 福山、ブラトエフ、柳澤、西田、久保山、廣瀬 L興梠
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