ジェイテクトSTINGS VS FC東京

郡が負傷退場のアクシデントも、代わって入った浅野がチームを立て直す。ブラトエフはスパイクだけでチーム最多の16得点

 前日の開幕戦で堺に3−1で快勝し、勢いに乗るジェイテクトSTINGS。「コンディション、パフォーマンスのいい選手を起用する」という高橋監督の采配が的中した。新加入のブラトエフやルーキーの郡が躍動。この日のFC東京戦も、同じ布陣でスタートした。

 立ち上がりはサイドアウトの応酬が続いた。ジェイテクトSTINGSは、福山の速攻や郡のバックアタックなどで得点を重ねていく。セッター久保山のトスワークも光った。巧みにトスを散らして、相手に的を絞らせない。ブラトエフのバックアタックでラリーを制し、8−7で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 しかし、FC東京が先に均衡を破る。郡のスパイク、ブラトエフのバックアタックが止められてブレイクポイントを奪われた。9−10。それでも、ジェイテクトSTINGSは慌てない。袴谷、ブラトエフのスパイクでサイドアウトを切っていくと、久保山がサービスエースを決めて13−13。さらにブラトエフのサービスエースで逆転に成功する。郡がコートを縦横無尽に駆け回り、17−15と引き離した。ブラトエフが決めてリードが3点に広がったところで、FC東京は1回目のタイムアウトを要求した。
 あとは落ち着いてサイドアウトを切っていくだけだった。浅野を投入して守備を固め、松原のサーブで相手の守備を崩しにかかった。郡が決めて24−22とセットポイント。しかし、決め切れずジュースにもつれ込む。明暗を分けたのはブロックだ。廣瀬の気迫のこもったブロックでブレイク。郡のブロックで31−30とすると、最後は相手のスパイクがアウトになりジェイテクトSTINGSが32−30の接戦を制した。

 第2セットもジェイテクトSTINGSが追いかける展開。ブラトエフのサービスエースなどで2点を先行するが、袴谷が止められて3−4と逆転を許す。ここで袴谷から西田にスイッチ。入ったばかりの西田が強烈なスパイクを叩き込んで、粘り強く得点を重ねていく。
 郡のバックアタックでサイドアウトを切り、廣瀬のブロックで9−9の同点。さらにブラトエフのサービスエースで追加点を奪う。西田はサーブでも活躍した。相手の守備を崩し、返ってきたチャンスボールを確実に得点につなげていく。リベロの興梠を軸に、粘り強い守備も見せた。ブラトエフのフェイントが決まって、2点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 アクシデントが起きたのは、同点に追いつかれてすぐのことだ。18−17の場面。ネット際のプレーで郡が右足首を負傷。浅野との交代を余儀なくされた。ここで発奮したのが西田だ。強烈なサーブで相手を崩し、ブラトエフの得点をお膳立て。ブラトエフが決めてセットポイントを奪うと、最後は相手にミスが出て25−23。ジェイテクトSTINGSが2セットを連取した。

 ブラトエフのスパイクで幕を開けた第3セット。ジェイテクトSTINGSは、負傷退場した郡に代わって、浅野がそのままコートに立った。その浅野が攻守にわたって活躍する。4−6でサーブが回ってくると、2本連続でサービスエースを決めて同点に追いついた。
 1点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えるが、ジェイテクトSTINGSの反撃はここから。セッターの久保山はブラトエフにトスを集め、廣瀬のダイレクトスパイクなどで4連続得点。11−8と一気に逆転する。勝負どころで福山が速攻を決め、西田のサービスエースで15−12。浅野がレフトから矢のようなスパイクを突き刺し、16−13で2回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 松原もサーブでチームを後押しした。17−14の場面で登場。強烈なサーブで相手を崩すと、廣瀬のブロックでブレイクポイント。しっかりと仕事を果たした。
 興梠がレシーブしたボールがそのまま相手コートに落ちるなど運も味方につけた。久保山が片手で上げたトスを西田が難しい体勢から決めて23点目。最後は浅野が高い打点から強烈なスパイクを叩き込み、25−18でこのセットを制したジェイテクトSTINGSがストレート勝ちを収めた。

 開幕2連勝と好スタートを切った。
「連勝できたことは、嬉しいというかホッとしている部分もあります。ただし、監督としては、修正しなければいけない部分がある。チームとしても、いいところがあれば悪いところもあった。そこは来週に向けて修正していきたいと思います」
 高橋監督はこう語り、勝って兜の緒を締めた。来週は福井でパナソニック、大分三好と対戦する。その翌週は刈谷でのホームゲームだ。最高の舞台で、さらに勢いを増したジェイテクトSTINGSの姿を披露したい。

高橋慎治監督

相手の勢いに押され、厳しい状況になってしまいました。その中で選手が耐え抜き、セットを取った結果が今日の勝ちにつながった。選手がよく頑張ってくれました。袴谷選手を先発で起用した理由は、昨日の試合で調子を崩したまま終わらせたくなかったから。もっと上を目指してほしいし、どうやって今日の試合に臨むかに期待して起用しました。今までは、自分がトスを上げてゲームをコントロールしていましたが、今は自分がプレーをしないでチームに指示を出さないといけません。まだまだ勉強不足。個人的にも修正していきたいと思います。

浅野博亮

出だしから硬さが出てしまい、ミスをして相手に流れを与えてしまうパターンに陥ってしまいました。そこは反省すべきところ。ただし、郡選手が躍動していい流れを持ってきてくれたことは、チームにとって財産になりました。個人としては、途中からコートに入ってチームを支える役割を担っていますが、それが結果として出せたことはよかったと思います。幸先のいいスタートが切れて、チームとしてはホッとしています。さらに気を引き締めて、来週のパナソニック戦でしっかりとレベルアップしたところを見せたい。覚悟を持って取り組んでいきます。

ヴァレンティン・ブラトエフ

難しい試合になると想定していましたが、その通りになりました。どこのチームもレベルが高いので、100パーセントの力を出し切らないと勝つことはできません。そういった意味では、チームがいいプレーをしてくれたので勝利をつかむことができたと思います。キャプテンの浅野選手も、非常にいいプレーを見せてくれました。重要なのはチームが勝つことです。昨シーズンまでこのチームでプレーしていたカジースキ選手のレベルに達するのは難しいかもしれませんが、すべての面でいいプレーをすることを目指しています。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

本領を発揮しつつあるブラトエフ。さらなるパフォーマンスのアップに期待がかかる

新加入のブラトエフが本領を発揮しつつある。サーブレシーブをこなし、強烈なサーブで相手を崩す。昨シーズンまで共に戦ってきたカジースキを彷彿とさせる存在だ。この日も、攻守にわたって安定したパフォーマンスを発揮した。キャプテンの浅野は、ブラトエフがチームに加わったメリットについてこう話す。「練習に対してものすごく真面目で、自分が知る限り、どの外国人選手よりもボールを追いかけます。その姿勢はチームにもフィットしているし、ブラトエフ選手が頑張っているからこそ、『俺たちも諦めてはいけない』『日本人が諦めてどうするんだ』と思える。そういう雰囲気を出して練習できていることが、チームがまとまっている要因になっています」。性格もいい。コートでは気迫のこもった表情を見せるが、普段はとても温厚だ。さらにトップフォームに近づいていけば、相手にとって最大の脅威となるだろう。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS FC東京
第1セット 32 - 30
第2セット 25 - 23
第3セット 25 - 18
第4セット
第5セット
日付 2018年10月28日(日)
試合 V1リーグ レギュラーラウンド 第2戦
場所 小牧スポーツ公園総合体育館(パークアリーナ小牧)
メンバー 福山、ブラトエフ、郡、袴谷、久保山、廣瀬 L興梠
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