ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ

袴谷、郡が抜擢の期待に応えて活躍。新加入のブラトエフも要所で強打を炸裂させた

 眩いばかりのスポットライトを浴びながら選手が入場する。日本のバレーボールが新しい時代に突入した。いよいよ新しくなったV.LEAGUEが開幕した。
 ジェイテクトSTINGSの初戦の相手は堺ブレイザーズ。外国籍選手のジョルジェフ ニコラに加え、日本代表でも活躍するセッターの関田を獲得するなど、確実にスケールアップしているチームだ。しかし、ジェイテクトSTINGSも負けてはいない。何しろ、層が厚くなった。そのことは、この日のスタメンからも見て取ることができる。
 セッターは久保山。対角には袴谷が入った。アウトサイドヒッターは新加入のブラトエフ ヴァレンティン。その対角に郡が抜擢された。ミドルブロッカーは廣瀬と福山。リベロの興梠が守備を固める。高橋監督は「今週に入ってからメンバーを決めた。コンディション、パフォーマンスのいい選手を選んだ」と振り返った。

 口火を切ったのは廣瀬だった。速攻で先制点を奪う。ジェイテクトSTINGSが好スタートを切った。ブラトエフのスパイクで1点を返すと、袴谷の連続得点で4−1。郡、福山も立て続けに決めて8−5で1回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 アタッカー陣をリードしたのがセッターの久保山だ。多彩なトスワークで相手を翻弄した。今シーズンから取り組んでいる真ん中の攻撃を駆使して、着実に得点を重ねていく。袴谷のバックアタックも機能した。久保山のサービスエースで突き放すと、廣瀬がブロックを決めて18−14。リードを広げた。
 リリーフサーバーの松原もチームの原動力になった。相手の守備を崩すと、郡のブロックが炸裂。完全に試合のリズムをつかんだジェイテクトSTINGSが福山の速攻などで加点し、相手の得点を19点に抑えて第1セットを先取した。

 しかし、第2セットは一転して追いかける展開に。郡、ブラトエフの両サイドが踏ん張ったが、4点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎える。袴谷が相手のブロックにつかまり出し、攻撃の手数を欠いた。松原が連続でサービスエースを決めて、チームを盛り上げる。しかも、そのうちの1本はチャレンジが成功して得たもの。ブラトエフのスパイクで一時は2点差まで追い上げた。
 浅野を投入して守備を固め、ワンポイントブロッカーの金丸がネット際に立ちはだかった。しかし、このセットを21−25で落とし、セットカウントを1−1の振り出しに戻された。

 第3セットは、袴谷に代わって西田がコートに入った。チームの雰囲気も変わった。ライトからブラトエフが決めた。興梠の二段トスを郡がたたき込むと、福山、西田が続いて3連続得点。さらに西田のサービスエースなどで3連続得点を奪い、7−2と試合を優勢に進める。
 ブロックで勢いをつかんだのがジェイテクトSTINGSだ。10−5の場面では、ジョルジェフのスパイクをブラトエフが止めた。さらに廣瀬もジョルジェフをシャットアウト。郡のこの日3本目のブロックで16−8、2回目のテクニカルタイムアウトを大差で奪った。
 その後もジェイテクトSTINGSの勢いが優っていた。西田がライトから強打を叩き込んで、チームを鼓舞した。久保山のジャンプフローターサーブで相手からミスを誘った。24−14と10点のリードを奪った。最後は西田のダイレクトスパイクでフィニッシュ。25−15でジェイテクトSTINGSがこのセットを奪い、勝利に王手をかけた。

 第4セットは一進一退。先にジェイテクトSTINGSがリズムをつかんだ。西田の力強いサーブをきっかけに3連続得点。しかし、3連続失点を喫して7−7。粘る堺に追いつかれた。
 ここからは互いが1点ずつを取り合う展開。ジェイテクトSTINGSは郡のサーブがネットインし、ブレイクポイントを奪った。気を吐いたのが廣瀬だ。パワフルな速攻を立て続けに決めて16−14。廣瀬が吠えた。
 さらにブラトエフのサービスエースで追加点。終盤に入ってもジェイテクトSTINGSの勢いは衰えない。松原の好サーブで3連続得点。20−16と突き放した。
 あとは確実にサイドアウトを切っていくだけだった。西田が難しい二段トスを決めて21−18。久保山のブロックでブレイクすると、福山が決めて23点目。落ち着いた試合運びだった。最後はブラトエフが決めて25−21。ジェイテクトSTINGSが初陣を飾った。

 会心の勝利だった。第2セットは奪われたが、しっかりと修正した。新加入のブラトエフも機能したと言っていい。フルセットに持ち込まれることなく、3ポイントを奪ったことも大きな収穫だ。
「厳しい場面もあったけど、チーム一丸となって勝つことができた。すごくいいチームに仕上がっていると思います」
 勝利者インタビューで西田はこう振り返った。チームの調子は右肩上がりだ。この勝利をきっかけにスタートダッシュを切りたい。

高橋慎治監督

初戦ということで硬さはありましたが、勝利で終われたことに対してホッとしています。攻撃面に関しては、第2セットにミスが多く出ました。そのため、第3セット以降は、オポジットに西田選手を投入しました。大事なところで難しい二段トスを決めるなど、期待通りの活躍をしてくれた。本当にありがたいです。正直、緊張や不安はありましたが、この開幕まで選手たちはしんどい練習に耐え、向上心を持って取り組んでくれました。そのため、選手に対する期待や信頼の方が大きかった。自分自身も、落ち着いて試合を見ることができました。

袴谷亮介

西田が全日本から戻ってきてからも、ずっとAチームで練習していました。そのため、準備はしっかりできたと思っています。ただ、周りから「1セット目はよかった」と言われたんですが、少し自分の思ったプレーとは違った感じになっていた。相手のレベルが上がっていくにつれて、対応できなくなっていきました。それでも、今日は純粋に楽しんでプレーできたと思っています。今年で30歳。ポジション争いはきついけど、勝負していかないといけない。今年は新たなことにも取り組んでいて、手応えはあります。まだまだ頑張ります。

郡浩也

開幕スタメンに大抜擢されてすごく緊張しましたが、先輩たちに声をかけられ、リラックスしてプレーすることができました。勝ってホッとしています。憧れの舞台でスタメンを張るという緊張があり、昨日もなかなか寝られませんでした。第4セットの終盤にスパイクを2本アウトにしましたが、闇雲に打ったわけではなくちゃんと狙いがありました。ワンタッチを狙ったり、ストレート側を狙ったり、自分としては悪くない打ち方だったと思っています。ただ、決めようとし過ぎたところがあるので、そこを修正したら自分の持ち味がもっと出てくると思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

今いる選手を最大限に生かす。高橋監督のカラーが見えてきた

この日のスタメンをピタリと当てられた人は、果たしてどれくらいいるだろうか。それくらい大胆な布陣だった。特に袴谷のオポジットでの起用には驚かされた。高橋監督はその理由について、「練習の時からパフォーマンスがよかった。また、相手の堺さんはサイド陣が高く、そこに対するブロックでも期待していた」と話している。バックアタックで得点を重ねるなど、期待に違わぬ活躍ぶりだった。今シーズンからレギュラーラウンドは6試合増えて27試合になる。2月いっぱいまで続く長丁場だ。当然、一人の選手が出続けるのは難しい。「その週のコンディション、パフォーマンスがいい選手を選んでいきたい。それくらい全員がいいものを持っているので、信頼して使っていきたいと思います」。今いる選手を最大限に生かしたチーム作り。高橋監督のカラーがおぼろげながらに見えてきたような気がする。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ
第1セット 25 - 19
第2セット 21 - 25
第3セット 25 - 15
第4セット 25 - 21
第5セット
日付 2018年10月27日(土)
試合 V1リーグ レギュラーラウンド 第1戦
場所 小牧スポーツ公園総合体育館(パークアリーナ小牧)
メンバー 福山、ブラトエフ、郡、袴谷、久保山、廣瀬 L興梠
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