ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ

会心の内容で第1セットを先取。しかし、サーブレシーブが乱れて、第2セットを競り負ける

 結果は紙一重だった。たしかに勝つチャンスはあった。得点がほしい場面でミスもあった。しかし、白熱の展開に、会場は大いに沸いた。第67回黒鷲旗のグループ戦、東レアローズとの一戦はフルセットにもつれ込むエキサイティングな戦いになった。

 ジェイテクトSTINGSは前日に続いて渡邉がセッターに入った。立ち上がりはサイドにトスを散らして攻撃を展開していく。西田がスパイク、ブロックでブレイクポイントを奪った。浅野もレフトからキレのあるスパイクをたたき込んだ。相手のブロックを両サイドに分散すると、センター線の速攻で得点を重ねた。
 サーブでも攻めた。西田がサービスエースを決めて15−14。16−15で2回目のテクニカルタイムを奪うと、渡邉のブロックでリードを2点に広げた。ブロックに高さが生まれたことで、ディフェンスの安定感も増した。
 一度は同点に追いつかれたが、圧巻はここからだ。カジースキのスパイクでラリーを制した。浅野のバックアタックで20−17。西田も強打で続いた。さらにカジースキがライトから強烈なスパイク。
 この日のジェイテクトSTINGSはラリーに強かった。24−21と3点差に追い上げられたところで2回目のタイムアウトを要求。最後は浅野のスパイクが決まり、第1セットを25−21で奪った。

 第2セットは、両者の意地と意地がぶつかり合った。序盤はジェイテクトSTINGSがペースを握った。金丸の速攻で先制すると、西田の強打、カジースキのサービスエースで5−0。難しいトスを西田が決めて、さらに試合のペースをつかんでいく。浅野も決めて、8−3で1回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 その後もジェイテクトSTINGSが優勢に試合を進める。最大で7点のリードを奪った。しかし、中盤に失速。西田、カジースキのスパイクが相手のブロックに止められる。それでも、福山のブロック、西田のスパイクなどで23−19。このセットの勝利は目の前だった。
 勝負はここからだった。4連続失点で23−22。カジースキがサイドアウトを切っていくが、あと1点が遠い。西田のバックアタック、カジースキのスパイクでブレイクし、30−29とついにリードを奪った。しかし、サービスエースを奪われて33−34と再び追いかける展開に。粘り強くサイドアウトを切っていったが、最後はサービスエースを決められて35−37で失セットを喫した。

 この日のジェイテクトSTINGSは気持ちの切り替えが早かった。第3セットは圧倒的な攻撃力を見せたのだ。2−1でカジースキにサーブが回ってくると、そこから6連続得点。カジースキのサービスエース、浅野のスパイク、西田のブロックなどで8−1と試合の主導権を握った。
 中盤以降もジェイテクトSTINGSは安定した戦いを披露した。3連続失点を喫する場面もあったが、アーマツ監督がすぐさまタイムアウトを要求。相手に傾きかけた流れを取り戻す。
 その後も、サイドを中心に攻撃を組み立てると、渡邉が鮮やかなツーアタックで21−15とする。互いに1点ずつ取り合い、金丸の速攻でセットポイント。最後も金丸が決めて、25−20で勝利に王手をかけた。

 第4セットも、ジェイテクトSTINGSは同じメンバーでスタートした。しかし、東レに立ち上がりのペースを握られる。アーマツ監督はセッターを渡邉から久保山にスイッチ。カジースキのブロックなどで8−9と1点差に迫った。しかし、3連続失点を喫して再び4点のリードを許した。
 ビハインドは最大で6点。カジースキ、福山のブロックで粘りを見せた。一時は2点差まで迫った。サーブの切り札として松原を投入。しかし、スコアを覆すことはできず、22−25で敗れた。

 第5セットは、まさに死闘だった。序盤は東レに先行を許した。3−5となったところで早めにタイムアウトを要求。これ以上、点差を離されるわけにはいかない。西田のサービスエースなどで8−8の同点に追いついた。
 会場の視線がいっせいにAコートに注がれた。カジースキのスパイクでサイドアウトを切ると、金丸のブロックでついに逆転。しかし、サービスエースを決められて、12−13と再びリードを奪われる。はやる気持ちを抑え、極めて冷静に西田がスパイクを決めた。15−15。相手のマッチポイントを2度しのいだ。15−17で惜しくも敗戦。会場の歓声がため息に変わった。

 ジェイテクトSTINGSは2位でグループ戦を突破した。明日の準々決勝は、C組1位のJTと対戦。負けたら終わりの決勝トーナメントが、いよいよ幕を開ける。

アーマツ・マサジェディ監督

今日はセッターの渡邉をスタートから起用しました。彼はブロックが高く、チームを助けてくれます。また、速攻を使うなど、トスのバリエーションがある。攻撃はうまく機能していたと思います。ただ、今日はレセプションに問題がありました。もつれた第2セットも、最後は相手のサービスエースで負けました。チームに緊張があったように思います。技術的には問題ないので、そこを修正すれば勝つことができるでしょう。とにかく気持ちを切り替えるしかありません。明日の準々決勝は全力で勝ちにいきます。

興梠亮

決めなければいけないところで決め切れなかったこと、そして、相手のサーブに対してレセプションで踏ん張れなかったことが負けにつながったと思います。前半は先行していたので、東レに対していい戦い方ができました。サーブで攻めることもできました。また、セッターに渡邉が入ったことでブロックが高くなり、相手に上を抜かれることがなくなりました。レシーブとの関係も少しずつよくなり、守備はよくなっていると思います。黒鷲旗は、この大会を最後に引退する選手もいるので、その人の分まで頑張って有終の美を飾りたい。明日の準々決勝は、今日のような試合の入り方をして、サーブでしっかり攻めていきたいと思います。

西田有志

立ち上がりは、(渡邉)峻さんがうまく速攻を使ったことで、それによって相手のブロックが分散し、サイドが打ちやすくなりました。サーブを置きにいくと相手のチャンスボールになるので、思い切って打ちにいきました。しっかり攻めることができたと思います。ただ、会場に慣れていない部分があり、もっとコンディションを整えなければ試合にも勝てないと感じました。セッターとしっかり話し合って、コンビを合わせるようにしなければいけません。黒鷲旗は僕にとって初めての大会。まずはどういう大会なのかを認識し、そこでパフォーマンスを出し、結果を残すことが大事です。明日以降も、そこを意識してやっていきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

悪い流れを引きずらなかった。敗れはしたが価値のある一戦だった

負けは負けでも価値のある一敗だった。そう思っている。象徴的だったのが、第5セット、8−8の場面だ。お見合いでボールを落とした。嫌な失点だった。もしかしたら、このままズルズルと失点を重ねていたかもしれない。しかし、今日のジェイテクトSTINGSは違った。興梠が言う。「ああいうポトンと落ちたボールに対して全員が『あー』ってなってしまい、いつもならそのまま連続失点につながることが多かった。でも、そこはみんなわかっていたので、声をかけ合いながら早く流れを切れたことはよかったと思います。もちろん、試合中はミスが出ることもある。だけど、切り替えを早くして、次の点数を取りにいく姿勢を出すことが重要だと思います」。西田のスパイクでラリーを制し、すぐに9−9の同点に追いついた。気持ちをすぐに切り替えた。たしかに失点はもったいない。しかし、何よりも大事なのは、ミスを認識し、次のプレーに生かすことだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ
第1セット 25 - 21
第2セット 35 ー 37
第3セット 25 - 20
第4セット 22 ー 25
第5セット 15 ー 17
日付 2018年5月2日(水)
試合 第67回黒鷲旗全日本男女選抜大会 グループ戦
場所 丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)
メンバー カジースキ、金丸、渡邉、福山、西田、浅野 L興梠
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