ジェイテクトSTINGS VS 警視庁フォートファイターズ

前日から大幅にメンバーを入れ替え。セッター渡邉の巧みなトスワークで攻撃のペースをつかむ

 第67回黒鷲旗のグループ戦、第2戦は警視庁フォートファイターズと対戦した。ジェイテクトSTINGSは前日から大幅にメンバーを入れ替えてきた。セッターは渡邉、オポジットには袴谷が入った。レフトは柳澤と郡、ミドルブロッカーは辰巳と廣瀬が対角を組んだ。リベロには全日本に招集された本間が入った。

 第1セット、渡邉の最初の選択肢はミドルブロッカーの廣瀬だった。1本目はアウトになったが、再び廣瀬の速攻を使ってすぐにサイドアウトを切る。辰巳のブロック、袴谷のサービスエースなどで3連続得点。セッターの渡邉も長身を生かして強打をたたき込んだ。柳澤が決めて、4点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 その後もジェイテクトSTINGSのペースで試合が進行した。廣瀬のサーブで相手を揺さぶると、袴谷のブロックなどで4連続得点。センター線の速攻に郡がバックアタックを絡めるなど、スピードのある攻撃を展開する。
 一時は3点差まで追い上げられるが、渡邉のツーアタック、廣瀬のブロックなどで3連続得点。柳澤が決めて22−16とリードを維持する。4連続失点を喫したが、タイムアウトで悪いムードを断ち切った。郡が決めてセットポイント。最後は渡邉のブロックが決まり、ジェイテクトSTINGSが25−22で第1セットを先取した。

 第2セットも同じメンバーでスタート。袴谷のサーブでジェイテクトSTINGSがペースをつかむ。郡のダイレクトスパイク、袴谷のバックアタックなどで4連続得点。さらに辰巳の速攻、柳澤のブロックなどで9−4とリードを広げる。
 本間を軸に守備も安定していた。セッターの渡邉が積極的にミドルブロッカーの速攻を使って攻撃をコントロール。要所でサイドの郡にトスを託し、着実に得点を積み重ねていく。
 18−10となったところで警視庁は2度目のタイムアウトを要求。ジェイテクトSTINGSは19−11となったところで袴谷に代えて江頭をコートに送り込んだ。ここから郡のブロック、渡邉のダイレクトスパイクなどで3連続得点。落ち着いた試合運びを見せると、最後は江頭が決めてこのセットを25−14で圧倒した。

 第3セットは、江頭がオポジットに入った布陣でスタート。僅差を保ったまま試合を進めるが、中盤に失速する。廣瀬の速攻がブロックされるなど、5連続失点を喫した。この時点で15−18。追い上げのチャンスはまだ残されていた。
 柳澤が奮闘して2点を連続で決め、1点差まで詰め寄った。しかし、3連続失点で再び点差が広がる。ここでジェイテクトSTINGSは2度目のタイムアウトを要求。松原、袴谷を投入するが、流れを変えることはできず、21−25でこのセットを失った。

 第4セットは福山がコートイン。その福山の速攻でラリーを制して、ジェイテクトSTINGSが先制点を奪う。さらに辰巳の速攻でサイドアウトを切ると、柳澤のバックアタック、郡のダイレクトスパイクで着実に加点。袴谷がサービスエースを決めて、4連続得点で4点のリードを広げた。
 その後もジェイテクトSTINGSが順調に得点を重ねていく。渡邉のブロックで連続得点を奪った。辰巳、福山を中心に攻撃を組み立て、相手の守備に揺さぶりをかける。
 辰巳が決めて5点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを奪った。袴谷がライトから決めてサイドアウトを切る。18−13となったところで江頭が再びコートに入った。松原も入り、コートに安定感を生み出す。19−15から怒濤の4連続得点。江頭が決めて23点目を奪った。江頭にトスを集めてマッチポイント。最後まで攻撃の手を緩めなかったジェイテクトSTINGSが25−18でこのセットを奪い、セットカウント3−1で勝利をつかんだ。

 試合後はすべての選手が安堵の表情を浮かべていた。前日の苦戦から一転、出場した選手が自らの役割をまっとうした。
「最初に入っているメンバーだけでは勝てません。全員がしっかりと準備をして、チーム一丸となって戦うことが大事。自分も、外からできることをしっかりやりたいと思います」
 試合後に語った江頭。明日からはプレミア勢との対戦が続く。「ONE」のチームスローガンを思い出し、ファイナルに向けて全員で突き進みたい。

アーマツ・マサジェディ監督

昨日の試合は内容があまりよくありませんでしたが、誰かが悪かったというわけではありません。一人ひとりの力が必要です。今日も若い選手を起用しましたが、自分たちの役割を果たすことに集中してくれたと思っています。気持ちもうまく切り替えていた。江頭はリードしている場面で起用しようと思っていました。スタメンで入った袴谷もけっして決定率は高くなかったけど、サーブとブロックでチームを助けてくれたと思います。決勝トーナメントの進出は決まりましたが、明日の東レ戦も勝ちにいきます。

江頭広樹

黒鷲旗の2、3日前にアーマツ監督から「試合に出したい」と言われていました。オポジットで出場するということは今朝、言われましたが、ずっとやってきたポジションなのでいつでもいける自信がありました。レフトから打った1本は手応えがよかったけど、それだけでなくフェイントもできたしプッシュもできたし、ブロックでワンタッチを取って切り返しから得点を奪うこともできた。やれることはすべてできたという印象です。引退を発表しましたが、自分が思っていたよりはふつうに試合に入ることができました。大会はまだ続きますが、最後にしっかりコートに立ってプレーできたことはよかったです。

渡邉峻

いつも一緒にやっているメンバーだったのでやりやすかったです。昨日も一瞬だけ出番がありましたが、「やってやろう」という思いが空回りしてしまいました。一晩で切り替えて、今日はいつも通りのプレーができたと思います。反省点は、連続失点になった時に切り替えができずズルズルと引きずってしまったこと。ラリーの展開が速くなるにつれて、レフトへのトスも失速して落ちてしまいました。トス回しには自信を持っているので、精度を上げていきたいと思います。明日以降も出場機会があれば、平常心でプレーできるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

センター線の速攻を駆使して得点を量産。価値ある1勝をつかむ

渡邉が最後までトスを上げ続けた。印象的だったのがミドルブロッカーの使い方だ。サーブレシーブの成否に関わらず、徹底的にセンター線の速攻を使っていた。ラリー中にも速攻を使い、得点を積み重ねた。その理由を渡邉に聞くと「僕が立てた作戦じゃない」と笑った。「本間さんが『ミドルを中心に攻撃を展開していけばといい』と教えてくれました。その作戦でミドルが決まりやすくなりました。そういうのも、誰かに指示されるんじゃなくて、自分で考えていけたらと思います」。ミドルブロッカーに相手の意識を集めることで、柳澤、郡のバックアタックも機能した。これまでサイドが中心だったジェイテクトSTINGSの攻撃に新たな可能性を見出した。それくらい価値のある1勝だったと言っていい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 警視庁フォートファイターズ
第1セット 25 - 22
第2セット 25 ー 14
第3セット 21 ー 25
第4セット 25 ー 18
第5セット
日付 2018年5月1日(火)
試合 第67回黒鷲旗全日本男女選抜大会 グループ戦
場所 丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)
メンバー 渡邉、柳澤、郡、辰巳、袴谷、廣瀬 L本間
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