ジェイテクトSTINGS VS 早稲田大学

2セットダウンからの大逆転勝利。浅野、西田の闘志がチームに火をつけた

 シーズンを締めくくる黒鷲旗が幕を開けた。チームのベクトルは同じ方向に向かっている。もちろん、日本一だ。
 初戦の相手は早稲田大学。去年の全日本インカレを制した強豪だ。しかし、臆することはない。チームに明るいニュースもある。ケガで戦列から離れていた柳澤が復帰。この日、スタメンのコートに戻ってきた。

 だが、早稲田大の組織的な守備の前に、ジェイテクトSTINGSはいきなり出鼻をくじかれた。サーブで狙われたのは柳澤だ。守備から攻撃に移る機動力を奪われ、スパイクがラインを割る。柳澤がサーブレシーブでボールを弾き、1回目のテクニカルタイムアウトを挟んで5連続失点を喫した。
 奮闘したのがカジースキだ。フェイントを駆使して相手のブロックを揺さぶると、一人で4点を一気に奪い12−11と逆転に成功。サーブで攻めて得点を稼ぎ、17−14とリードを広げる。
 しかし、再びサーブレシーブが乱れて18−18。さらに相手のサーブがネットに当たって落ちるなど、アンラッキーな失点もあった。20−21と逆転を許す。金丸の速攻、清野のスパイクなどで僅差をキープするが、最後は柳澤のスパイクがブロックされて25−27でこのセットを落とした。

 ジェイテクトSTINGSは第2セットのスタートから柳澤に代えて郡を投入。さらにオポジットには、全日本に招集されたルーキーの西田を投入した。郡がバックアタックでペースをつかむと、金丸もブロックや速攻で加点する。しかし、西田、郡のスパイクが相手のブロックに阻まれて、9−10と再び追いかける展開になった。
 セッターを久保山から渡邉にスイッチ。最初のプレーで、西田が高い打点からスパイクをたたき込む。福山に代わって辰巳も入った。しかし、大きな流れの変化はなかった。最後は16−20から5連続失点。セットカウント0−2と、ジェイテクトSTINGSが土俵際に追い込まれた。

 チームを救ったのが浅野だ。第3セットからコートに入った。カジースキがサーブで攻め、ネット際に上がったボールを浅野がダイレクトでたたき込む。福山の速攻もかみ合い始めた。西田のバックアタックなどでサイドアウトを切ると、相手からミスを誘って11−10とついに逆転に成功した。
 守備では、リベロの興梠が立ちはだかった。ベンチアウトの本間をカバーする働きを見せる。浅野、西田のスパイク、福山のブロックで3連続得点を奪い15−13。ついにリードを2点に広げた。
 さらにカジースキがスパイク、ブロックで活躍。一度は1点差まで詰め寄られるが、再び21−18と突き放す。金丸の速攻でサイドアウトを切って23−20。福山のブロックでセットポイントを奪うと、西田のサービスエースでフィニッシュ。25−21で第3セットを取り返した。

 勢いに乗ったジェイテクトSTINGSが第4セットも走った。福山がブロックで勝負強さを発揮し、さらにカジースキのフェイントでラリーを制して5連続得点。2点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 セットを通じて奮闘したのが西田だ。特に中盤以降は、立て続けにトスが上がってきた。渾身の力で何度もスパイクを打ち続けた。キャプテンの浅野も声でチームを奮い立たせた。
 とどめの一撃はカジースキだ。21−18の場面でサービスエース。ここで早稲田大は2度目のタイムアウトを消化。西田が決めてついにセットポイント。1点差に追いつかれてジェイテクトSTINGSもタイムアウトを使い切ったが、最後は西田が決めて25−23。勝負の行方を第5セットに持ち込んだ。

 一進一退。どちらに軍配が上がってもおかしくない展開だった。ジェイテクトSTINGSは、立ち上がりにカジースキのスパイクなどで3連続得点。早稲田大もすぐに同点に追いついてきた。
 ここからは互いに1点ずつ奪い合った。ジェイテクトSTINGSは福山のブロック、カジースキのスパイクなどで確実にサイドアウトを切っていく。16−16。運命の第5セットは、ジュースにもつれ込んでいた。
 スタンドから歓声と悲鳴が上がる。浅野が決めて5回目のマッチポイント。熱戦を締めくくったのは西田だ。強烈なスパイクで相手のブロックを弾いて19−17。セットカウント0−2からの大逆転勝ちで、グループ戦の初戦を飾った。

 冷や汗の連続だ。早稲田大の組織的なディフェンスに終始、苦戦を強いられた。最後の第5セットを取り切ったのは、プレミアの意地だった。
「少しでも油断するとこういう形で崩れることがわかった。一人ひとりがパフォーマンスを発揮できるように、短い時間ですけどしっかりと修正したい」
 試合後にこう話した福山。大事なのは気持ちを切り替えることだ。一戦一戦を大事にし、ファイナルが行われる5月5日にピークに持っていけばいい。

アーマツ・マサジェディ監督

午前の試合になったが、その時間に合わせて練習してきました。試合の入り方が悪かったのは、私たちの問題です。気持ちの切り替えができなければ、どんな練習をしても何も変わりません。一番大事なのはサイドアウトです。その次にサーブをマネージして、できればブロックディフェンスを含めていい試合をしようと話していました。ただ、早稲田大のディフェンスも素晴らしかった。選手たちは、久しぶりの試合で緊張感や流れに慣れていなかった。気持ちを切り替えて、明日の試合に臨みます。

柳澤広平

ケガの状態もよく、以前と同じようにプレーしています。サーブレシーブはケガから復帰したあとも重点的にやってきました。今日はよくなかったけど、最近の練習試合や練習ではかなりよくなっています。立ち上がりはそんなに悪くなかったけど、第1セットに2回くらい2、3点のリードをして、そこでミスを出してしまいました。そのきっかけを作ってしまうことが多かったので、チームに迷惑をかけてしまいました。一試合一試合にプレッシャーがかかる中で冷静な判断を身につけられるようにしようと思っていたけど、今日の試合ではあまりできていませんでした。前向きな姿勢を出せていなかったので、明日からの試合では自分らしさを出していきたいと思います。

福山汰一

今の早稲田大は、昨年の全日本インカレでチャンピオンになった時のメンバーがほとんど残っています。そうした強いチームに対して、もっと強い気持ちで当たっていくべきでした。攻撃が機能していない中で、相手が組織的なチームになってくると、どうしても真ん中の決定率が落ちてしまいます。V・プレミアリーグが終わってからは、スパイクの位置やスピードについても話し合ってきました。まずは一つひとつしっかりとサイドアウトに集中することが大事です。また、この一年間、しつこくブロックすることをずっと言われてきました。一つでも多くワンタッチとキルブロックをして、しっかりと攻撃につなげられるようにしたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

サーブで攻められず苦戦。ジェイテクトSTINGSの原点を取り戻したい

苦戦した要因は様々だ。早稲田大が組織的なディフェンスを敷いてきたことが一つ。試合開始が11時からというのもアンラッキーだった。体が動いていなかった。しかし、ジェイテクトSTINGSはV・プレミアリーグで上位を狙うチームだ。言い訳にはならない。特に失った第1、2セットは、攻撃のリズムがかみ合わず、サーブも走っていなかった。たしかに早稲田大のサーブレシーブは、カジースキの強烈なサーブも真上に上げていた。しっかりと対策を練ってきたのだろう。だが、サービスエースがカジースキと西田の1本ずつというのはやはり寂しい。明日はV・チャレンジリーグⅠの警視庁フォートファイターズが相手だ。原点を取り戻し、サーブで攻めていきたい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 早稲田大学
第1セット 25 - 27
第2セット 16 ー 25
第3セット 25 - 21
第4セット 25 ー 23
第5セット 19 ー 17
日付 2018年4月30日(月・祝)
試合 第67回黒鷲旗全日本男女選抜大会 グループ戦
場所 丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)
メンバー カジースキ、金丸、福山、清野、柳澤、久保山 L興梠
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