ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ

2セットダウンで迎えた第3セットに本領を発揮。カジースキの活躍などで第4セットも最後まで死闘を繰り広げる

 泣いても笑っても、ジェイテクトSTINGSにとってはV・プレミアリーグの最終戦である。前の試合でサントリーが敗れ、順位も5位に決まった。しかし、チームのモチベーションは高い。
「試合前に順位が決まったのはわかっていた。だけど、今日はV・プレミアリーグの最終戦。たくさんのファン、応援団が駆けつけてくれた。チームの中で『消化試合にするのはやめよう』という話もしていた。全力で勝ちにいきました」
 キャプテンの浅野はそう言った。そう。この試合は単なる消化試合ではない。5月の黒鷲旗、そして未来に向けて、新たなスタートとなる重要な一戦である。

 立ち上がりは西田がチームを引っ張った。セッターの久保山も左腕にトスを集める。ライトから、レフトから豪快なスパイクをたたき込んだ。ブロックも決めた。1点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えたが、ジェイテクトSTINGSが序盤の流れをつかんでいた。
 ルーキーの活躍にベテランも応えた。カジースキのフェイントなどで3連続得点。一度のサイドアウトを挟んで、カジースキのブロックなどで再び3連続得点を奪う。14−10とジェイテクトSTINGSがリードを広げた。
 しかし、中盤はJTサンダーズにペースを握られる。サービスエースを決められるなど、守備が乱れて15−16と逆転を許した。
 反撃の糸口をつかんだのは久保山だ。西田のスパイク、カジースキのバックアタックでサイドアウトを切ると、久保山がブロックを決めて19−18と逆転。さらに西田のスパイクでラリーを制し、21−19とした。
 JTはここで2度目のタイムアウト。試合の流れが大きく動く。しかし、ジェイテクトSTINGSもタイムアウトを取って流れを取り戻した。22−22。ベンチが勝負を仕掛ける。郡、松原を続けて投入。しかし、ブレイクポイントが奪えない。24−24と追いついたところで袴谷をコートに送り出した。ここで福山が会心のブロック。第1セットの奪取まであと1点だった。4度のセットポイント。しかし、粘るJTの前に28−30でこのセットを落とした。

 続く第2セットも熱戦が繰り広げられた。先行したのはJTだ。ジェイテクトSTINGSは浅野のバックアタックなど幅のある攻撃を展開するが、5−8で1回目のテクニカルタイムアウトを失う。
 それでも、ジェイテクトSTINGSは諦めない。福山の速攻、浅野のバックアタックなどで着実に加点。カジースキがサービスエースを決めて、13−13の同点に追いつく。さらに西田のサーブが一度はアウトと判定されたが、チャレンジによってイン。16−15と逆転に成功した。
 この日は、浅野のバイプ攻撃もよく決まっていた。浅野は守備でも活躍し、カジースキのスパイクをお膳立て。19−17とリードを広げた。
 渡邉がリリーフサーバーでコートに入った。カジースキのサービスエースでリードをキープする。金丸の速攻は、チャレンジによってブロックタッチが認められた。
 23−21。だが、今季のジェイテクトSTINGSは、セット終盤に苦しんでいる。ブレイクポイントを奪われて23−23。今季の戦いを象徴する試合になった。2度のセットポイントを奪った。しかし、勝負どころで得点を取り切れず、26−28で失セットを喫した。

 ジェイテクトSTINGSが本調子を取り戻したのは第3セットからだ。西田のスパイクで先制。浅野がバックアタックで続いた。浅野のブロックなどで8−6。さらに金丸の速攻、カジースキのスパイクでブレイクポイントを奪う。12−8。JTが1回目のタイムアウトを要求した。ジェイテクトSTINGSが、セット前半を優位に進めた。
 その後もジェイテクトSTINGSが走った。カジースキのバックアタックでサイドアウトを切ると、金丸のサービスエース、福山のブロックで3連続得点。我慢の時間帯もリベロの興梠、本間を軸に粘り強く守り、確実に得点を重ねていく。
 浅野のスパイクで22−15とし、このセットの趨勢を決めた。あとは落ち着いて試合を進めていくだけだった。浅野のスパイクで23点目。ここでコートに入った郡がチームの勢いに火をつけた。渾身のブロックでセットポイント。大阪市中央体育館のボルテージが最高潮に達した。
 仕上げはやはりこの男、西田だった。豪快なスパイクを決めてフィニッシュ。相手の得点を18点に押さえ、第3セットを取り返した。

 まさに死闘と呼ぶにふさわしい一戦になった。浅野のサーブから始まった第4セットは、カジースキのスパイクで長いラリーを制した。金丸のダイレクトスパイクなどで3連続得点。西田の左腕も唸った。
 3点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。その後も西田のバックアタックなどで得点を量産。カジースキのサーブも炸裂し、連続エースで16−13とリードを広げた。一度は18−19と逆転を許したが、カジースキが獅子奮迅の活躍。松原がサーブで相手を崩すと、カジースキがブロックを決めて21−21の同点に追いつく。
 カジースキのバックアタックでセットポイント。相手のスパイクがアウトになってジェイテクトSTINGSがこのセットを奪ったかに思われた。しかし、チャレンジでブロックタッチが認められ、スコアが覆る。
 24−24。ここから激しいサイドアウトの応酬になった。カジースキの活躍が光った。持っている技術のすべてを出し切った。サービスエースも決めた。しかし、決着がつかない。34−35。最後はカジースキのスパイクがアウト。チャレンジでも判定は覆らず、セットカウント1−3でジェイテクトSTINGSのV・プレミアリーグが終了した。

 敗れはしたが、力は出し尽くした。キャプテンの浅野は、ファイナル6をこう総括した。
「西田選手が入って攻撃力が上がり、それがチームに馴染んで組織力も上がった。なかなか勝てない中でも、選手一人ひとりがいろいろ考えて練習からやってきた。勝とうという意思を出していけたことで、チームとしてうまく回ったと思います」
 5位で今季のV・プレミアリーグを終えた。昨季よりも順位は落としたが、数多くの経験を積んだ。勝つことの喜びを知った。負ける悔しさも味わった。苦しみの中に、光りも見出した。この経験を糧に、5月の黒鷲旗で今季の集大成を飾りたい。

アーマツ・マサジェディ監督

いい試合はできましたが、負けてしまい残念です。V・プレミアリーグの最終戦ということで、みんなが勝って終わりたいと思っていました。監督になって1年目でしたが、苦しいシーズンになりました。いい時も悪い時もあった。ただ、私たちには経験がなかった。それでも、チームがうまく回った時は、どこが相手であろうと素晴らしい試合ができたと思います。今日の試合もあそこまでJTを追い詰めることができ、選手一人ひとりが自信を深めました。5月の黒鷲旗までに弱いポイントを修正して、強いポイントをさらに強化していきたいと思います。さらにいいチームを作るために、今から準備していきます。

浅野博亮

今日の試合は、簡単なミスをしたら一気に流れを持っていかれてしまうような雰囲気でした。しかし、勝負どころで自分たちがミスを出し、相手に流れを与えてしまった。勝負どころの集中力というか、硬くなってしまったことが敗因だと思います。今季のV・プレミアリーグは、個人的に苦しかったというのが正直なところです。前半は攻撃の部分で調子が上がらず、スパイクがよくなってきた後半はコミュニケーションのミスで負ける試合が多かった。ですが、チームは今、いい雰囲気になってきています。全員のコンディションも上がっている。もう一度、苦しいところでも自分たちの全力が出せる体づくりをして、黒鷲旗に臨みたいと思います。

西田有志

終盤になって相手のプレッシャーが大きくなり、自分がミスをしてしまう部分もありました。自分の努力不足です。ただ、両チームともすごいプレーばかりで、今日は楽しくできました。自分のミスは多かったけど、考えすぎても次につながらない。そう気持ちを切り替えていたら、本当に楽しくなってきてワクワクが止まりませんでした。デビューから2カ月、自分が入ってからチームが勝てなくなったこともあり、もっと頑張らないといけないという不甲斐なさもありました。それでも、最後にこういうゲームができてジェイテクトSTINGSに入ってよかったと思いました。黒鷲旗ではもっとマークが厳しくなると思うけど、心が折れないように練習から厳しくしていきます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

今季を象徴する試合だった。進化したジェイテクトSTINGSを黒鷲旗で見たい

敗れはしたが、いい試合だった。今季のベストゲームの一つと言えるだろう。第4セットも手に汗握る展開だった。ファイナル3がかかるJTを土俵際まで追い詰めた。ジェイテクトSTINGSの集中力は最後まで途切れなかった。ただ、一つだけ心残りがあるとすれば、今季を象徴する試合になってしまったことだ。つまり、勝負どころで勝ち切れなかった。もちろん第4セットのカジースキのプレーは称賛に値する。体力が消耗する終盤になっても、高さ、パワーともに落ちなかった。サービスエースで31−30とアドバンテージを奪った時は、このセットの勝利を確信したものだ。しかし、勝ち切れなかった。課題ははっきりしている。西田がチームにフィットしたことで、希望も見えてきた。黒鷲旗までおよそ2カ月。この大阪市中央体育館で再び、進化したジェイテクトSTINGSを見てみたい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ
第1セット 28 ー 30
第2セット 26 ー 28
第3セット 25 - 18
第4セット 34 ー 36
第5セット
日付 2018年2月25日(日)
試合 V・プレミアリーグ ファイナル6 第5戦
場所 大阪市中央体育館
メンバー カジースキ、金丸、福山、西田、久保山、浅野 L興梠、本間
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